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11月30日-25号

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  1. 名古屋市議会 2020-11-30
    11月30日-25号


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    令和 2年 11月 定例会               議事日程        令和2年11月30日(月曜日)午前10時開議第1 令和2年第130号議案 名古屋市議会議員選挙公報発行条例及び名古屋市長選挙公報発行条例の一部改正について第2 同 第131号議案 名古屋市敬老パス条例の一部改正について第3 同 第132号議案 名古屋市国民健康保険条例の一部改正について第4 同 第133号議案 名古屋市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について第5 同 第134号議案 名古屋国際会議場整備運営事業者選定審議会条例の制定について第6 同 第135号議案 令和2年度名古屋市一般会計補正予算(第10号)第7 同 第136号議案 令和2年度名古屋市市街地再開発事業特別会計補正予算(第1号)第8 同 第137号議案 令和2年度名古屋市公債特別会計補正予算(第4号)第9 同 第138号議案 令和2年度名古屋市病院事業会計補正予算(第1号)第10 同 第139号議案 契約の締結について第11 同 第140号議案 契約の締結について第12 同 第141号議案 契約の締結について第13 同 第142号議案 契約の締結について第14 同 第143号議案 財産の取得について第15 同 第144号議案 公立大学法人名古屋市立大学定款の変更について第16 同 第145号議案 当せん金付証票の発売について    ---------------------------   出席議員    北野よしはる君   斉藤たかお君    浅井正仁君     松井よしのり君    成田たかゆき君   岩本たかひろ君    おくむら文悟君   久田邦博君    赤松てつじ君    久野美穂君    塚本つよし君    沢田ひとみ君    河本ゆうこ君    豊田 薫君    手塚将之君     さかい大輔君    吉岡正修君     近藤和博君    田辺雄一君     さいとう愛子君    さはしあこ君    前田えみ子君    日比美咲君     森 ともお君    服部しんのすけ君  浅野 有君    西川ひさし君    中里高之君    丹羽ひろし君    ふじた和秀君    藤沢ただまさ君   中川貴元君    中田ちづこ君    岡本善博君    横井利明君     伊神邦彦君    渡辺義郎君     岡本やすひろ君    小川としゆき君   斎藤まこと君    服部将也君     加藤一登君    うかい春美君    田中里佳君    佐藤ゆうこ君    余語さやか君    大村光子君     田山宏之君    鹿島としあき君   金庭宜雄君    中村 満君     小林祥子君    木下 優君     三輪芳裕君    岡田ゆき子君    田口一登君    中川あつし君    長谷川由美子君    鈴木孝之君     うえぞの晋介君    江上博之君     さわだ晃一君    浅井康正君     橋本ひろき君    吉田 茂君     小出昭司君    山田昌弘君   欠席議員    増田成美君    ---------------------------   出席説明員市長          河村たかし君  副市長         堀場和夫君副市長         伊東恵美子君  副市長         廣澤一郎君防災危機管理局長    渡邊正則君   総務局長        中田英雄君財政局長        鈴木峰生君   スポーツ市民局長    寺澤雅代君経済局長        難波伸治君   観光文化交流局長    松雄俊憲君環境局長        勝間 実君   健康福祉局長      山田俊彦君子ども青少年局長    杉野みどり君  住宅都市局長      藤條 聡君緑政土木局長      酒井康宏君   防災危機管理局総務課長 大澤政充君総務局総務課長     舘 雄聡君   財政局総務課長     後藤仁美君スポーツ市民局総務課長 杉山和人君   経済局総務課長     杉山拓也君観光文化交流局総務課長 伊藤 毅君   環境局総務課長     小木原吏香君健康福祉局総務課長   浅井令史君   子ども青少年局総務課長 嶋 久美子君住宅都市局総務課長   加藤高弘君   緑政土木局総務課長   山口浩明君    ---------------------------上下水道局長      飯田 貢君   上下水道局総務部総務課長                                加知 智君    ---------------------------病院局長        大原弘隆君   病院局総務課長     杉原忠司君    ---------------------------消防長         小出豊明君   消防局総務部総務課長  加藤哲也君    ---------------------------選挙管理委員会委員長  堀場 章君   選挙管理委員会事務局次長                                加藤里香君    ---------------------------教育長         鈴木誠二君   教育委員会事務局総務部総務課長                                櫻井瑞郎君          令和2年11月30日 午前10時2分開議 ○議長(中里高之君) これより本日の会議を開きます。 本日の会議録署名者には岡本善博君、加藤一登君の御両君にお願いいたします。 これより日程に入ります。 日程第1より第16まで、すなわち第130号議案「名古屋市議会議員選挙公報発行条例及び名古屋市長選挙公報発行条例の一部改正について」より第145号議案「当せん金付証票の発売について」まで、以上16件を一括議題に供します。 11月27日に引き続き、質疑並びに質問を続行いたします。 最初に、江上博之君にお許しいたします。    〔江上博之君登壇〕 ◆(江上博之君) おはようございます。 通告に従い、質問します。 新型コロナウイルス感染症拡大防止のための検査・保護・追跡調査について、健康福祉局長に質問します。 10月下旬から、感染拡大が日に日に急増し、国内感染は連日2,000人を超えています。名古屋市内でも、19日、116名で過去最高を更新し、感染経路不明が54名、感染者中46%を占めました。検査数は675人です。そして、27日には117名と更新いたしました。PCR検査能力は1日当たり1,200件を超えていますが、実際の検査数は、11月18日の997件が最高です。検査能力は十分にあります。 政府の「大都市の歓楽街における感染拡大防止対策ワーキンググループ 当面の取組方策に関する報告書」が10月発表され、これまでの感染拡大の経験を踏まえれば、大都市の歓楽街が感染拡大の言わば急所であり、こうしたエリアへの対策を強化することが今後の感染拡大防止に有効であるとしております。大都市歓楽街が感染の震源地というのです。 同じく、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部、11月10日では、新宿・歌舞伎町においては大規模・地域集中的なPCR検査を実施したことにより、陽性者数が減少したことが統計的分析で明らかになっているとしています。大規模・地域集中的なPCR検査の効果を認めております。 11月29日から、愛知県では、3回目の休業要請が1日2万円の愛知県感染防止対策協力金とセットで実施されています。対象は、8月休業要請の栄・錦地区です。休業要請だけでなく、感染経路不明が増える中、無症状の感染者を把握し、保護し、追跡して感染経路を断つために、PCR検査を抜本的に拡大することです。 日本共産党市議団は、今年7月からの感染拡大に当たり、感染防止のために、1、無症状の感染者を把握し、保護し、感染経路を追跡調査すること、2、集中的に感染震源地である栄地区繁華街を面的に検査すること、3、検査方法として、地域全体の住民、従業員など全員にPCR検査を実施することを求めてまいりました。 PCR検査については、一般的に感度は70%程度という見解があります。確かに、個々人の診断では、コロナウイルスが喉や鼻の奥になく、肺にあれば陰性となってしまいます。しかし、感染拡大は、くしゃみや息遣いによるものです。喉や鼻の奥にウイルスがあれば、ほぼ100%検出できる精度の高いのがPCR検査です。感染拡大防止の検査には効果があることを示してまいりました。 7月28日、8月4日、8月12日、河村市長、大村県知事に申入れを行いました。そして、河村市長からは、提案について、そういうつもりでやりますという回答がありました。 名古屋市は、10月28日から3日間、栄繁華街の地域を特定して、無症状の方を含めPCR検査を行いました。大いに評価するものであります。続いて、11月には、8月に休業要請した地域を特定して、新型コロナウイルス感染防止対策協力店認定制度を創設し、11月4日から申請を受け付けました。この取組も大いに評価いたします。風俗営業法の中の接待を伴う飲食店を対象に、愛知県の新型コロナウイルス感染防止対策を実施している店舗から従業員名簿を提出していただき、市の実地調査、無症状の従業員に対する唾液によるPCR検査を実施、全員が陰性であれば認定のステッカーを発行するものです。感染防止対策と飲食店等の盛り上げ策を目指すものであります。 そこで、質問いたします。感染拡大防止のためには、面的に全ての関係者にPCR検査を行うべきです。なぜ、今回、接待を伴う飲食店に限定したのか、理由を説明してください。 そして、名古屋市として、業種を限定することなく面的に、無症状の方を含め地域関係者全員にPCR検査を行うことを求めます。お答えください。 2点目、申請には、従業員名簿の提出が必要です。また、PCR検査実施によって陽性と判定されれば、10日以上の保護が必要となります。仕事に就けません。このことが、申請数が増えない原因になっていないでしょうか。信頼関係をつくることも求められています。 そこで、質問します。従業員名簿は、PCR検査のため以外は使わないことの周知徹底、陽性あるいは濃厚接触者となり、保護された期間に仕事ができなかったことによる金銭的補償を行うなど支援策が必要です。いかがお考えでしょうか、お答えください。 3点目、繁華街という地域とともに、この間、高齢者施設での集団クラスターが発生しています。特に、高齢者施設では、命と直結しております。それだけに、病院や高齢者施設等への一斉・定期的な検査を行って、集団クラスターになる前に止めなければなりません。 東京都世田谷区では、介護事業所で集団的にPCR検査を行い、無症状の陽性患者が出ました。重症者が出る前に感染状況が分かったと、感染拡大防止効果が出ております。 そこで、質問します。病院や高齢者施設等への集団的な検査のために、施設を特定してPCR検査を定期的に行う社会的検査実施を求めます。お答えください。 4点目、無症状の方を検査し、陽性となれば保護が必要です。診断までは医療が行っても、その後は保健所の対応です。健康観察担当者がますます必要になります。 では、現状はどうか。市長提案説明で、濃厚接触者等の健康観察について丁寧に報告されていました。先日、中保健センターの実情が報道されておりました。行動調査や健康観察は保健師ら12人が担う、感染者からの折り返し電話や市民からの相談で電話は鳴りっ放し、軽症者が入るホテルへの入所手続といった仕事も抱え、土日は交代で出勤、第1波のときより忙しい、連休が取れない、こんな状況が続けば病気になる、みんな疲れ切っていて職員の応援の在り方を考えてとの声です。ここをどうするかです。感染拡大防止のためには、どうしてもPCR検査以後の陽性者や濃厚接触者に対し、保護・追跡調査する、感染追跡を専門とする人員を確保しないと進みません。 東京都では、保健所の下、保健所支援拠点を設置し、追跡調査のためのトレーサー班を設けています。看護師、准看護師、保健師の資格を持ち、個人情報保護に認識がある方となっております。 そこで質問します。名古屋市においても、追跡調査充実のために、保健所の下、感染追跡専門の組織・人員を確保することを求めます。お答えください。 5点目、以上を実施しようとすれば、財源が問題となります。名古屋市は、PCR検査の名古屋市負担分について、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金で対応しています。しかし、臨時交付金には限りがあります。また、国の責任で進めるべき事業という点からも、感染拡大防止のためのPCR検査の財源は、国が全面的に負担する必要があると私たちは考えております。 そこで、質問します。公費負担のPCR検査の財源は、国が全面的に負担するよう求めるべきです。お答えください。 次に、名古屋城整備事業において、開発優先でなく文化財保護重視の取組について、観光文化交流局長に質問します。 重要文化財等展示収蔵施設の外構工事での、江戸時代の遺構を傷つけ工事を進めた毀損事件は、名古屋城整備が、開発優先で文化財保護の観点が抜け落ちていることを示しました。幸い、修復が可能であることが示され、一安心しています。 しかし、天守閣木造復元という開発を優先し、文化財保護がないがしろにされている例が、また出てまいりました。10月22日行われた特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で明らかになりました。 1点目、名古屋城天守閣解体のために、天守閣北側に解体工事用の構台設置のために土台部分の調査を行うと提案しています。その場所には、江戸時代の文献、金城温古録で水道と記述された場所があることが明らかになっています。文化財保護の観点から、この水道遺構の調査を第一優先に行うべきです。ところが、構台設置のために遺構に影響があるかどうかの調査のみで、水道遺構調査は行われません。 そこで、質問します。文化財保護の観点から、水道遺構調査をなぜ行わないのか、理由を説明してください。 2点目、その検討会議で、鉄骨鉄筋コンクリート天守再建に当たり、いかに当時の建設者が再建に苦労したか、石垣保全にも苦労したかを示す写真が明らかにされました。このような写真は最近見つかったそうですが、少なくとも市民には知らされておりません。そもそも名古屋市は、1959年現天守再建以来、再建過程を市民に知らせてきませんでした。時々の展示をするのみです。そして、今回木造復元に当たり、その経過を記録として残すというのみです。 そこで、質問します。戦後復興の象徴である現天守閣がいかに建設されたのか、現天守再建に当たっての苦労話も含めて、しっかりと市民に示すことが先決です。どのように示すか、お示しください。 3点目、現天守は、外観復元だけでも文化財としての価値が大変高いものです。文化庁は、今年6月、「鉄筋コンクリート造天守等の老朽化への対応について(取りまとめ)」を発表しました。そこでは、老朽化した鉄骨鉄筋コンクリート天守の50年耐用年数について、財務省令におけるRC建物の減価償却上の年限であって、老朽化対策が適切に行われれば、相当年数長寿命化を実現することは不可能ではないとしています。再アルカリ化など延命策によって耐震補強を行えば、相当年数維持できることが可能と言っているのです。 名古屋市は、2016年、名古屋城天守閣木造復元に当たってアンケートを行い、その際、現天守閣の耐震改修工事について、おおむね40年の寿命と記述いたしました。今回の文化庁の文書には、耐震補強後40年の寿命などという記述はありません。 そこで、質問いたします。専門家が協議した文書にもない記述は撤回すべきです。お答えください。 これで、私の第1回目の質問を終わります。(拍手) ◎健康福祉局長(山田俊彦君) 健康福祉局には、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための検査・保護・追跡調査に関し、数点のお尋ねをいただきました。 まず、感染防止対策協力店認定制度についてでございます。 新型コロナウイルス感染防止対策協力店認定制度に関しましては、国の分科会提言において、接待を伴う飲食店がある歓楽街への早期介入や対策強化の重要性、また、エリアや業種等の対象を絞った上での集中的な対策強化の重要性が指摘されたことを踏まえ、8月に愛知県が営業時間短縮・休業要請を行った地区において、感染拡大のおそれがより高いと思われる、従業員と利用者との接触が密で時間も長い、接待を伴う飲食店に限定したものでございます。 また、面的なPCR検査につきましては、飲食店等の従業員や利用者の方々に対して一度に大量の検体採取を行う必要があることや、保健センターの職員への事務量増加に伴う負担など、検査体制の構築といった点などにつきまして、様々な課題があると認識をしております。 飲食店等の従業員や利用者に対して、COCOAの普及啓発に努めるなど、早期発見につながる取組を進めるとともに、引き続き、必要に応じてPCR検査等を受けることができる体制の構築に努めてまいります。 なお、認定制度において、従業員名簿は、認定後に協力店で感染が確認された際に提出いただくなど、感染拡大防止の目的に限り使用するものであり、このことは要綱に定めておりまして、申請時点に申請者に対して周知をしております。また、陽性が判明した場合等に金銭的な補償を行う考えはございません。 次に、施設を特定して定期的に検査を行う社会的検査についてでございます。 社会的検査という新たな枠組みにつきましては、まずは国において検討していただく必要があると考えておりますが、医療機関や高齢者施設等の関係者に対して定期的に検査を実施する場合には、検査体制の構築など様々な課題があると認識をしております。 既に、本市におきましては、高齢者施設の入所者や従事者に陽性が判明し、クラスター対策上必要と考えられる場合については、これまでも当該施設の入居者及び従事者全員に検査を実施した事例もございまして、今後も柔軟に検査対象を拡大して検査を実施するなどの対応を行ってまいります。今後とも、適切な範囲で調査を行い、必要に応じ検査につなげるよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。 次に、感染追跡専門の組織・人員の確保についてでございます。 感染拡大防止のため、感染者やその濃厚接触者に対し丁寧な疫学調査や健康観察を実施していくための人員確保は必要であると認識をしております。本市においては、感染追跡、つまり積極的疫学調査は、各保健センターの保健師、看護師などの専門職が行っております。日頃から地域との関係性を築いている各保健センターが、それぞれの区の実情に即した細やかな調査や対応を行うため、集約化はせず、引き続き各保健センターにて調査を行ってまいりたいと考えております。 今後、感染拡大時にも迅速かつ的確に対応できるよう、体制の強化を検討してまいります。 次に、公費負担のPCR検査の財源についてでございます。 新型コロナウイルス感染症対策に係る各種費用の財源につきましては、国で対応すべきところは国が負担すべきものと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ◎観光文化交流局長(松雄俊憲君) 名古屋城整備事業における、開発優先ではなく文化財保護重視の取組についてに関連いたしまして、3点御質問をいただきました。 まず最初に、現天守閣解体における遺構調査についてでございます。 天守台北側の構台設置地点におきましては、地下遺構の状況を把握するための発掘調査を実施いたします。今回の調査は、現天守閣解体の現状変更申請に対する文化庁からの指摘事項に対応するための調査であり、解体に際しましては、仮設構台を設置する地点の地下の遺構の状況を把握した上で、遺構に影響のない工法等を選択し、遺構の保存を確実に図ることが求められております。発掘調査は、一度行うと二度と元に戻らないため、目的に応じて必要最小限の範囲で行うことが重要であると考えております。 金城温古録に記載された水道遺構につきましても、遺構の全体像を明らかにする目的ではなく、遺構の状況を把握するために最小限の範囲で調査を行ってまいります。その結果を踏まえて、工事に際して遺構に影響のない工法等を検討することが、文化財保護につながるものと考えております。なお、調査につきましては、有識者会議にお諮りした上で、いただいた御意見を踏まえて計画立案し、その実施のための現状変更許可につきまして文化庁に申請をしているところでございます。 次に、現天守閣の記録についてでございます。 10月22日に開催いたしました第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議におきまして、現在検討を進めております木造天守の基礎構造の考え方を御説明させていただく中で、天守台石垣の戦後の修理や現天守閣再建時の状況についても併せて御説明をさせていただきました。 鉄骨鉄筋コンクリートで再建されました現天守閣につきましては、焼失前の木造天守に比べて重量が大きいため、天守台石垣に荷重をかけないつり構造を採用し、全ての荷重を天守台内部に構築したケーソンで支持するなど、非常に高度で困難な工事が行われており、当時の最新の建築技術により、外観は史実にほぼ忠実に再現し、内部は近代的な博物館機能を有する戦後復興の象徴として再建されました。また、再建に向けた機運の高まりなど、当時の人々の熱意を今に伝える建造物でもあります。 名古屋城天守閣木造復元事業を進めるに当たりましては、名古屋城の400年を超える歴史、その中での先人の方々の苦労や努力、いかにして、市民の精神的基柱であり、誇りであり続けてきたかを伝え知っていただくことで、木造復元事業への理解をより深めていただくことができるものと考えております。まずは、平成29年度より毎年開催しております市民向け説明会を、事業の経緯や進捗状況の説明だけではなく、少しでも名古屋城について学びや発見が得られる機会となりますよう、学芸員等の協力を得て工夫をしてまいりたいと考えております。そして、木造天守の復元に当たりましては、記録の保存といたしまして、現天守閣の図面や写真のほか、解体する外装材や内装材、構造躯体の一部の保存、現天守閣再建までの経緯、当時の人々の思いや苦労を伝える資料等の収集・整理、また、人々の記録の継承といたしまして、資料等のデジタル化によるウェブサイトでの公表、現天守閣の部材の展示やグッズ化なども検討しております。 引き続き、有識者・文化庁の御意見を伺いながら、より具体的な方策・取組につきまして検討を進めて、文化庁から提出を求められております木造復元の具体的計画の中に盛り込んでまいりたいと考えております。 最後に、現天守閣の老朽化対策についてでございます。 平成28年度に行いました名古屋城天守閣の整備2万人アンケートにおきましては、現天守閣は、再建から半世紀以上経過し、コンクリートの劣化や耐震性能が現行基準に合わないなど、様々な課題が顕在化しており、現天守閣を耐震改修した場合においても、コンクリートがおおむね40年の寿命という調査結果が出ていることを説明し、今後の天守閣の整備について、どのようにしたらよいと思われるかを伺ったものでございます。 コンクリートの寿命をおおむね40年といたしましたのは、平成22年度の耐震診断とともに実施いたしました構造体劣化調査の結果に基づいたものでございます。これは、耐震改修の実施の有無にかかわらず、天守閣のコンクリートの中性化の進行度合いとコンクリート内部の鉄筋の腐食・さびの状況から判断しているものでございます。御理解を賜りたいと存じます。 以上でございます。 ◆(江上博之君) 観光文化交流局長に再質問いたします。 開発優先でなく文化財保護重視を求めて質問しようとしてまいりましたところ、27日本会議で、また新たな問題が出ました。詳しくは、経済水道委員会で所管事務調査が行われると思いますので、そこでしっかり議論したいと思います。 そこで、質問します。調査研究センターは、文化財保護の立場で、所長以下、全力を尽くしている、また、現在の問題にも取り組んでいるという理解でよろしいですね。お答えください。 ◎観光文化交流局長(松雄俊憲君) 名古屋城調査研究センターの文化財保護に対する姿勢について再度お尋ねをいただきました。 特別史跡名古屋城跡におきましては、今年の3月の遺構毀損事故の再発防止対策として、史跡全体の適切かつ厳格な保存を最優先にし、その大前提に立って、遺構等に影響を及ぼすことのないよう慎重に整備・活用を図っていくことを基本原則といたしました。 調査研究センターにつきましても、その原則の下、名古屋城の文化財について調査研究を推進し、史跡の保存・活用を進めております。その役割を、所長以下、調査研究センター一丸となって果たせるよう現在も取り組んでおりますが、今般、廣澤副市長から、その調査の指示を受けておりますので、調査結果も踏まえて、さらに学芸員の育成、能力の向上を図り、その能力を発揮できるような環境づくりを進めてまいりたいと考えております。 ◆(江上博之君) 現天守再建は、非常に高度で困難な工事であり、当時の最新の建築技術により、外観は史実にほぼ忠実に再現し、内部は近代的な博物館機能を有する戦後復興の象徴として再建されました、また、再建に向けた機運の高まりなど、当時の人々の熱意を今に伝える建造物でもありますと、回答がありました。 これほどの文化財としての価値がある建造物を、名古屋市は名古屋市民にきちんと知らせてまいりませんでした。再建時、伊勢湾台風の被災で、名古屋城どころではなかったというのが市民です。それだけに、文化財としての価値をしっかり市民に知らせ、名古屋の誇りであることを示すことこそ、名古屋市のやるべきことではありませんか。天守木造化でなく、現天守を現在の技術を駆使し、また、維持管理にも努めて、長寿命化--耐震補強することです。何より、石材片やモルタルが落ちてきています。当然、石垣そのものが大丈夫か、ぼろぼろになっていないか。石垣保全こそ、喫緊の課題ではありませんか。石垣保全や遺構の保全に全力を尽くすことを求めておきます。 次に、健康福祉局長に質問します。 追跡調査の体制があれば、栄繁華街など特定地域の関係者全員を対象にして、面的にPCR検査が実施できますよね。お答えください。 ◎健康福祉局長(山田俊彦君) 健康福祉局に、面的PCR検査の実施に関する再度のお尋ねをいただきました。 特定地域の関係者全員を対象とした面的なPCR検査につきましては、一度に大量の検体を採取するための検査体制を構築することが一番の大きな課題であると認識をしております。 本市ではこれまでも、感染者が確認された施設などにおいては迅速に各保健センター積極的疫学調査を行い、クラスター対策上必要と考える場合については、柔軟に検査対象を拡大して検査を実施しております。 今後とも、適切な範囲で調査を行い、必要に応じ検査につなげ、感染拡大防止に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。 以上でございます。 ◆(江上博之君) 面的に検査を求めておりますし、それから、高齢者施設等で一人でも出れば全面的に検査する、そういう姿勢で感染拡大防止に努めていただきたいと思いますが、そのためにも、市長に改めて質問いたします。 大都市の歓楽街での大規模・地域集中的なPCR検査の効果があると国は言っているわけです。金は出さないというところに大きな問題があることは承知しております。そこで、接待を伴う飲食店から、さらに面的に検査することが必要だと思っております。この点についての御決断。 もう一点は、検査体制・追跡体制を充実することです。どんちゃん騒ぎをしないでくださいと言いますが、市民は、もう一生懸命感染防止に努力しています。今必要なのは、市民に市のやる気を見せるときです。PCR検査を栄繁華街で地域関係者全員に面的に行うこと、少なくとも今回の休業要請を行った業種にまで広げること、要は接待を伴う飲食店のみならず、お酒関係のところ、こういうところに広げること。そして、地域との関係性を築いている各保健センターの下に追跡専門の人材を確保して感染拡大を断つ、この決意を求めます。お答えください。 ◎市長(河村たかし君) 今、局長が言いましたように、なかなかこの全員というやつですね、これは非常に課題も大きいということでございますし、それはそれで、一人でもたくさんの人、ぎょうさんの人をやっていくということは、ええことだと思いますけど、名古屋の場合は、非常に保健センターが大変努力しておりまして、積極的疫学調査という健康観察者のフォローと。これ、どこがあれかといいますと、PCRだと、仮にネガティブと出ますと、それで一応、普通は終わってしまうわけです。しかし、健康観察者フォローの場合は、ほぼ2週間ですね、連続的に連絡を入れて、注意してくださいよと。市民の皆さんの協力が要りますけどね。こちらのほうも、これだけ毎週数字を出しておるのが、今、調査しておりますと、政令都市・県で名古屋市しかないですね、これ。先週でしたか、2,240名、これ、健康観察のチェックをしておりまして、PCRも、やれるだけというか、とにかく一人でもようけやれるように増やしていきますけど、もう一つ、この健康観察の名古屋のやっておる姿というのも大変ええことではないかというふうに気がしておりまして、両方調整しながらやっていきたいと思います。 ◆(江上博之君) 今、問題は、私自身、例えば追跡調査で保健所や保健センター、一生懸命やってみえることは承知しています。ただ、私たちの視点は、市民にとって感染拡大をどう防止するか、そのために必要な体制をどうつくるか。そして、検査についても、やれるだけやるのではなくて、やっぱり面的検査をやれば効果があると言っているわけです。 今、繁華街での関係者全員への面的検査をやると、PCR検査をやると、こういうことは言われませんでした。私自身、休業要請する以上は、協力金だけでなく、事業規模に応じて損失補償すべきと考えています。同時に、感染拡大防止の姿勢を市が示す--PCR検査を徹底して行いますと、こういう姿勢、追跡調査も徹底して行いますと、こういう姿勢を示してこそ、商売や経営にも大きな力になると私は思っております。感染拡大防止に全力を挙げてこそ、経済の回復もできます。引き続き、市民の命と暮らし、営業を守るために全力を尽くすことを求め、私自身も全力を尽くすことを申し上げて、質問を終わります。(拍手) ○議長(中里高之君) 次に、斉藤たかお君にお許しいたします。    〔斉藤たかお君登壇〕 ◆(斉藤たかお君) それでは、中里議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 まず初めに、敬老パスの民間路線バスへの対象交通拡大についてお尋ねをいたします。 敬老パスは、名古屋市が全国に誇るすばらしい制度である。今、この言葉を耳にされた議場の皆様の中で、異論があるという方は、恐らくおられないのではないかと思います。制度誕生の昭和48年に制度が創設されて以来、この敬老パスは幾度も市民の注目を集める議論の的となってまいりました。 まずは、制度誕生のまさにそのときであります。 私は、御承知のとおり3世議員でありまして、斉藤家では祖父葭一が議員在任中の、昭和48年7月の臨時市議会において、市は当初、70歳以上の市民を対象に敬老パスを交付するという提案を行いました。この提案に対し、当時の市会議員である祖父葭一や我々の大先輩たちが待ったをかけ、交付の対象を70歳以上から65歳以上の市民に改めることを迫りました。当時を振り返る中日新聞には、こうあります。当時の市議会は、当局との緊張関係を保ち、舌戦と呼ぶにふさわしい議論を繰り広げていたと。この結果、交付対象は、現在の65歳以上の市民となったのであります。 次に市民の注目を集めましたのは、斉藤家では父実が議員在任中の、平成16年の一部負担金の導入の際であります。 財政難と受益者負担の観点から一部負担金の導入を提案した当局と、父実や当時の議会の諸先輩方との間で真剣な議論が交わされました。その結果、一部負担金を1,000円、5,000円、1万円の3段階とする市の提案を認めず、最高額を半額の5,000円とし、1,000円、5,000円の2段階にすることを決定したのでありました。その後、1,000円、3,000円、5,000円の3段階にはなりましたが、この一部負担金の最高額5,000円は、16年たった今日においても、1円も引き上げられておりません。 そして、現在、敬老パスの総事業費が、高齢者人口の増加などに伴い、暫定上限額として定めた145億円に近づく中、地域や個人による利用の差を解消し、公平で持続可能な、より使い勝手がよい制度となるよう見直すための議論が行われてまいりました。その結果、市民の皆様が待ち望んだ、名鉄、近鉄、JR東海の鉄道への適用拡大と、その財源確保や公平性の担保のための利用上限回数730回の導入が条例に定められ、令和4年2月の開始に向けて準備が進められているところでございます。 斉藤家では、祖父葭一から父実、そして私へと替わっていく中、敬老パス制度も、その時代時代における様々な課題に直面してまいりましたが、当局も我々も諦めることなく果敢に立ち向かってきたからこそ、全国に誇るべき制度として、今日の成功を収めることができたのではないでしょうか。 このようなすばらしい敬老パスでありますが、以前にこんな出来事がありました。斉藤先生、敬老パスはありがたいんだけど、名鉄バスに乗れないので不便。何とかなりませんか。地元の方々とお話をしている際、こんなお声をいただきました。その方は近くのバス停を指さしながら、あれを見てもらえれば分かりますよと言われるのであります。そのバス停をしばらく見ておりますと、並んでバスを待っておられた高齢者と若者の前に1台のバスがやってまいりました。名古屋駅行きの名鉄バスであります。バスが乗客を乗せゆっくりと発車した後、そこには若者の姿はなく、先ほどから並んでおられた高齢者の姿だけがありました。それから10分が過ぎたでしょうか。またしばらくして1台のバスが止まりました。今度は同じ名古屋駅行きの市バスであります。そのバスが発車した後、やっと高齢者の姿は見えなくなりました。ちなみに、私の地元の稲葉地町停留所は、市バスと名鉄バスの停留所が隣り合っております。 市バスは、自宅から500メートルでバス停に到達できることや、需要が僅かであっても1時間に1本の運行に努めることなどを基本的な考え方として路線網が整備されており、市内を網羅する形できめ細やかに運行されております。まさに市民の足として非常に便利であることは言うまでもない事実であります。 このようにしっかりと整備された市バスの路線網でありますが、一部地域においては民間路線バスしか運行されていないところもあり、そういった地域にお住まいの方々にとっては、敬老パスで民間路線バスに乗車できるようになれば、非常に便利になる。敬老パスの民間路線バスへの対象交通拡大に対する私の理解は、こうでありました。さらに、市バスが運行されている地域においても、敬老パスで民間路線バスに乗車できることにより、利用できるバスの本数が増えたり、目的地までの乗り継ぎ回数が減ったりと、高齢者のよりスムーズな移動が可能となる効果もあるということに、私自身、改めて強く気づかされた出来事でありました。 このようなことから、敬老パスの民間路線バスへの対象交通拡大について強い興味を持ち、その効果について調べてみました。名古屋駅や栄駅から市役所の前を通り、守山区の四軒家まで走る、基幹2号系統というバス路線を例に見てみたいと思います。 この路線は、名古屋の中心部を横断し、数あるバス路線の中でも有数の路線であります。多くの乗客が利用するため、市バスと名鉄バスが同じルートを運行しているということを御存じの方も多いと思います。市役所本庁舎の前にあります市役所停留所の運行本数を見ますと、栄方面行きの市バスは、平日の通勤時間帯である朝7時台は18本、8時台は24本運行されております。一方、名鉄バスも朝7時台に11本、8時台に10本と、両者を合わせると非常に多くのバスが運行されております。通勤時間帯以外の時間でも、市バスは1時間に9本以上、名鉄バスは1時間に5本以上運行されております。そのほかにも、市バスについては別系統の栄行きバスも運行されており、数えるのも大変なほどであります。 何だ、名鉄バスに乗れなくても、市バスに乗りさえすれば十分なバスの本数があり、困ることはないじゃないか、そう感じられた皆さんも多いかと思います。 しかしながら、一たび市の中心部から周辺部へと目を向けてみますと、そうではありません。一つの例として、私が地元の方からお話を伺った、中村区の西部に位置する稲葉地町停留所を例に挙げたいと思います。 この稲葉地町停留所は、外堀沿いの庄内川に程近い場所にあります。最寄り駅は東山線中村公園駅でありますが、停留所の目の前を走る外堀通を東に向かえば、名古屋駅、栄駅にも通じており、自動車では交通の便がよい場所であります。 こちらのパネル及び議場の皆様方には配付いたしました資料を御覧いただきたいと思います。 この停留所から、バスで乗換えせず、直通で名古屋駅に向かう方法は二つあります。一つは、市バス名駅24号系統--こちらですね、一番上段のところにあります--24系統に乗車する方法。もう一つは、名鉄バス41号系統、44号系統に乗車する方法であります。運行本数で見てみますと、市バスは平日1時間に1本であり、運行時間は、朝の9時から夕方4時までと、通勤時間帯には何と市バスは走っておりません。一方、名鉄バスは、平日の通勤時間帯である朝7時台に7本、8時台に6本、それ以外の時間帯は、ほぼ1時間に2本のバスがあり、市バスよりも多くの本数が運行されております。 この稲葉地町停留所には、このほかにも中村公園駅を終点とする市バス--こちらですね、2段目になります--中村14号系統や栄駅に向かう市バス、幹栄2号系統が通勤時間帯を含めて一定数運行されておりますが、いずれも名古屋駅には接続をしておりません。これらを使って名古屋駅に行くためには、市バスや地下鉄を乗り継ぐか、バスを降りて徒歩で名古屋駅に向かう必要があります。 まとめますと、名鉄バスに乗車できない現在の敬老パス制度においては、乗換えなしで名古屋駅に向かうためには、1時間に1本のバスに乗車するしか方法がないわけであります。 先ほどお話をいたしました、名鉄バスを見送り、市バスに乗車をされた高齢者の方が、まさにこの例に当たります。敬老パスで名鉄バスにも乗車ができるようになれば、これまで直通の市バスがなかった通勤時間帯にも、乗換えなしで名古屋駅に行くことができるようになりますし、バスの本数が少ない通勤時間帯以外でも、市バスと名鉄バス合わせて1時間に3本の直通のバスに乗車できることとなり、この表にございます1時間に現状1本が20分に1本となり、これまでと比べ、ぐっと利便性が向上いたします。 通勤時間帯以外で見ましても、地下鉄中村公園駅のバスが1時間に4本から8本、栄駅へのバス--この下段にあります--1時間に2本から4本にと、どちらも利用できるバスの本数が倍増することで待ち時間が半分となり、各方面へのアクセスが大幅に改善されてまいります。このように、民間路線バスへの対象交通拡大によって生じる、利用できるバスの本数が増えたり、目的地によって乗り継ぎの回数が減るといったプラスの効果は、交通網が充実していない市の周辺部において特に顕著であり、高齢者のよりスムーズな移動に大きく寄与するということを御理解いただけたのではないかと思います。 民間路線バスへの対象交通拡大については、現在、当局で検討を進めていると伺っておりますが、今回御紹介したような事例が、我が中村区にとどまらず、ほかの地域でも毎日生じているのではないかと考え、調査を行いました。その結果、市内の名鉄バスの運行本数は40路線ありまして、平日は1,600以上、土曜日は1,200以上、日曜日は1,100以上の運行回数があり、多くの利用者が見込まれることから、一日でも早い拡大の実現が望まれることは言うまでもありません。 ちなみに、敬老パスの対象者がいないかもしれませんが、我が母校の大学に行きます直通バスも名鉄バスでございます。 市役所本庁舎の前にありますバス停は、雨風をしのぐ屋根、休憩するベンチもきちんと整備されておりますが、残念ながら全てのバス停がそうであるというわけではありません。夏は炎天下、雨の日は雨に打たれながら今か今かとバスを待ち、やっと来たかと思ったバスが敬老パスで乗れないバスであったときの高齢者のお気持ちを想像すると、一日でも早くという気持ちがさらに強くなるわけであります。 令和2年2月市会の代表質問において、私と同じく3世議員の深い絆で結ばれており、今は名古屋城で大変御多忙な財政福祉委員長の浅井正仁議員が、民間路線バス、具体的には名鉄バス及び三重交通バスの市内運行路線について敬老パスの対象拡大を行う考えがあるのかと確認をしたところ、健康福祉局長からは、具体的な検討に早急に着手するとの答弁をいただいております。あれから半年以上が経過いたしましたので、そろそろ敬老パスの民間路線バスへの拡大について、めどがついてきたのではないかと思います。心待ちにしている市民の皆様の期待に応えるために、拡大の時期を明確にした上で準備を進めていく必要があると考えますが、その時期につきましては、分かりやすさという点でも、名鉄、近鉄、JR東海の鉄道への拡大が予定されている令和4年2月というのが私は最適であると思いますが、健康福祉局長の御見解をお尋ねいたします。 次に、都心部における自動車交通の円滑化についてお尋ねをいたします。 昨年度6月定例会の個人質問において、我が会派の浅野有市議が、ノリタケの森地区の大規模商業施設の開業に向けて、名古屋駅周辺の交通処理対策について指摘し、交通課題の迅速な対応について当局に警鐘を促してまいりました。 こちらのパネル及び議場の皆様に配付いたしました資料を御覧いただきたいと思います。 それから1年以上が経過する中で、この緑色の部分になりますが、ノリタケの森地区では、大型商業施設や集合住宅などの大規模な建設が着々と進められているものの、この大型商業施設の南側に位置し、来店・退店ルートになっているこちら、外堀通ですね、私自身も日常的に利用する中で状況を確認しておりますが、以前に比べて自動車交通が増加しているように感じております。また、中村区の地域の方々も同様の感覚をお持ちなのか、こうした状況で開業を迎えた場合、外堀通が渋滞してしまい、これまでの日々の生活に大きく影響してしまうのではないかという不安の声が多数上がっております。 こうした自動車交通増加の背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、その対策として、鉄道やバス等の公共交通機関を敬遠し、自動車や自転車等へ移動手段を転換していることがあるのではないかと推察をしております。さらに、今後も、リニア中央新幹線の開業に合わせ、名古屋駅周辺だけではなく、栄地区を含む都心部全体で様々な開発や再整備が予定されており、さらなる自動車交通の変化も予想されております。こうした昨年からの状況の変化を踏まえるとともに、将来を見据えつつ、住宅都市局長に数点お尋ねをしたいと思います。 まず、ノリタケの森地区の大規模商業施設は来年秋頃にオープンを予定していると聞いておりますが、他地域の商業施設開発と同じく、多くの自動車需要の発生が予測され、外堀通をはじめとして、名古屋駅周辺の自動車交通に与える影響は非常に大きいと考えますが、これまで事業者とどのような渋滞対策や自動車利用抑制策を協議してきたかについてお尋ねをいたします。 次に、事業者が交通量を計測してから一定の期間も経過していることから、昨今の状況の変化を踏まえると、改めて現状の自動車交通量を把握し、オープン時の対策を含めて、実態に合わせたさらなる交通対策を、まちづくりの視点を持って事業者に求めていくべきではないかと考えますが、その御見解もお尋ねいたします。 また、今後も都心部で様々な開発が予定されていることを踏まえ、慢性的に渋滞が発生している東西方向--こちらでいうと、出来町通、外堀通、広小路通、若宮通、大須通、これは運河通でございますが--やはりこの部分についても、幹線道路をはじめとした都心部全体の交通課題にしっかりと対応していくためには、この幹線道路--こちらの表に示しました、北は出来町通、南は大須通、運河通ですね、東は、新栄町の19号線、西は中村区役所前の環状線の範囲--におきまして、行政として、自動車交通の実態を毎年度調査を実施して、適切にその交通量を把握しながら、これらの開発等における交通課題に総合的に対応していくべきではないかと考えます。 昨年度の6月定例会においても、浅野有市議が、名古屋駅周辺地区の渋滞緩和の方策として、栄生架道橋部--こちらでございます、ノリタケの森の北側に位置しております--の将来性に関して当局に答弁を求めておりますが、都心部の自動車交通の円滑化に向けては、こちら、地域の方や我が党の大先輩であります、選挙管理委員長であります堀場章先生が長年に望まれておりますこの栄生架道橋部も含めて、総合的な対策を取っていただけるように考えていただけるよう、住宅都市局長に御見解をお尋ねし、私の第1回目の質問とさせていただきます。(拍手) ◎健康福祉局長(山田俊彦君) 健康福祉局には、敬老パスの民間路線バスへの対象交通拡大についてお尋ねをいただきました。 名鉄バス及び三重交通バスへの敬老パスの対象交通拡大につきましては、現在、具体的な検討を進めているところでございます。 課題となっておりました、拡大を行った場合の敬老パス事業費への影響につきましては、間もなく調査結果がまとまる予定でございまして、今のところ、その影響は想定の範囲内に収まる見込みでございます。一方、敬老パスの適用に当たりましては、利用者の乗車実績を事業者から取得する必要がございますが、これにつきましては、事業者ごとに異なる技術的な課題が残っておりますことから、引き続き協議を進めている状況でございます。 民間路線バスへの対象交通拡大の時期につきましては、名鉄、近鉄及びJR東海の鉄道への拡大と同じく、令和4年2月を目標にしてはどうかという議員の御提案につきましては、市民にとっての分かりやすさ、広報のしやすさといった点において適しているものと考えております。 今後は、令和4年2月を目標として、残る課題の解決と実施に向けた準備にしっかりと取り組んでまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ◎住宅都市局長(藤條聡君) 住宅都市局には、都心部における自動車交通の円滑化についてお尋ねをいただきました。 ノリタケの森地区の大型商業施設を含めた再開発に伴う自動車交通への影響は大きく、これまでも交通管理者をはじめとした関係機関と協議・調整を実施しており、新たな自動車需要による道路交通への負荷を軽減するため、事業者に対しては、複数の交差点での右折滞留長の新設・延伸や、敷地内の駐車場までの導入路を十分に確保することなどの調整を進めてきたところでございます。 自動車利用の抑制に向けましても、都市型の大型商業施設であることを踏まえた駐車場の料金の設定や公共交通利用者へのポイント付与、名古屋駅だけでなく周辺地域を含めたシャトルバスの運行等について継続的に要請をしております。 一方、議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症拡大などにより状況が変化している可能性もあることから、今年度、ノリタケの森地区周辺を含む名古屋駅周辺の現況交通量を調査してまいります。そして、現在の交通対策の有効性を再検証し、外堀通を含めた周辺への交通負荷軽減について、オープン当初の対策も含め、まちづくりへの貢献を促しつつ、事業者としっかり協議していきたいと考えております。 また、都心部における今後の様々な開発や社会情勢の変化などの要因で交通動向が変化することも予想されるため、継続的に自動車交通等の実態を把握・分析する必要性を改めて認識したところでございます。総合的な交通対策に向け、来年度以降、当局だけでなく、横断的な庁内体制を構築の上、栄生架道橋部などを含めた都心部全体の交通量等の調査を実施してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 以上でございます。 ◆(斉藤たかお君) それぞれ前向きな答弁をありがとうございました。 まずは敬老パスについてでございます。 私自身、今回お話ししたような地元中村区におけるバスの状況はあったものの、多くの市民が望み、我が会派の多くの先輩・同僚議員もその実現に尽力をされてこられた敬老パスの民間鉄道への拡大が何といっても最優先であると考え、民間路線バスへの拡大についての思いを世襲の3世議員としてこれまで胸に秘めてまいりました。その民間鉄道への拡大が令和4年2月と決まった今、民間路線バスへの拡大についても、でき得る限り早く実現してほしいという市民の思いを、今回、質問という形でお伝えさせていただきました。 健康福祉局長からは、敬老パスの民間路線バスへの対象交通拡大については、名鉄、近鉄、JRの鉄道部分への拡大と同じく、令和4年2月を目標に準備を進めていくという御答弁をいただきました。これで、市民の皆様も御安心いただけたかと思います。 民間鉄道への拡大と民間路線バスへの拡大は、敬老パス50年の歴史の中で大きな出来事であることは間違いございませんが、市会議員として66年となる斉藤家の歴史においても非常に意味のある出来事であると感じております。私も全力で応援をいたしますので、先人が守り育ててきたこの全国に誇れる敬老パス制度が、さらにすばらしい成功を収めることができるよう、しっかりと取り組んでいただくよう要望させていただきます。 次に、都心部における自動車交通の円滑化について。 まずは、ノリタケの森周辺を含む名古屋駅周辺の交通量調査を行い、その結果を受けて事業者と協議をしていく、また、都心部全体の交通円滑化については、私が指摘した幹線道路や栄生架道橋部を含めた交通量等の調査を実施していくとの答弁でございました。ありがとうございます。 局長の答弁にもありましたが、都心部で今後様々な開発が予想され、継続的に自動車交通の実態を把握することは、渋滞を減らし事故を抑制する観点からも大変に重要であります。今回の大型商業施設がオープンすると、渋滞が名古屋駅にとどまらず周辺へ広がり、影響も甚大になってくると思います。交通問題については、ぜひとも渋滞にならないよう、オール名古屋で様々な課題を克服していただくよう要望させていただきます。 また、リニア開通後に自動車交通が増加すると予測されている名古屋駅周辺の交通円滑化のためにも、地域の方や我が党の大先輩でもあります堀場章先生が望まれております栄生架道橋部を含め、前向きに調査を進めていただくよう要望させていただきまして、私の全ての質問を終了いたします。(拍手) ○議長(中里高之君) 次に、うかい春美君にお許しいたします。    〔うかい春美君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◆(うかい春美君) 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。 その前に、世界中で新型コロナウイルス感染症の猛威が止まりません。我が国でも第3波のピークが目前に迫っている中、本市では、ここ数日、新規感染者が100人を超える厳しい状況であります。改めて、このたびの新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様にお見舞い申し上げ、亡くなられた皆様の御冥福をお祈りし、御家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、医療関係者の皆様をはじめとしたコロナ禍の最前線で命を救うために奮闘されている皆様や、営業自粛等で様々な影響を受けて苦しんでいらっしゃる皆様にも、感謝とエールを送るものでございます。 さて、コロナ対策といえば、米国における感染拡大は、さきの大統領選にも大きく影響したのではないでしょうか。 河村市長は、トランプ大統領の現状をどのように考えられますか。海の向こうのこととはいえ、我が国にも多大な影響のあるアメリカのこと、名古屋市民の関心も高いことと思います。トランプさんとは、減税政策、言い出したら聞かない、側近が次々と離反するなどなど、共通点も多い市長なのですが、さすがにこのたびの大統領職へのこの未練がましさには共感できないのではないでしょうか。コロナ対策を最優先に考えたスムーズな政権移行は、米国のみならず、世界が望むところだと思います。市長、ぜひ政治家の先輩として、電話でもして教えてあげてください。 ところで、先日、市長が何か弱気になっているとのニュースを目にしました。70を過ぎて夢の総理を諦めるようなことをおっしゃったと出ていましたが、本当ですか。(「いやいや、あの世で総理になるかも分からぬ」と呼ぶ者あり)市長--市長、夢は諦めてはいけません。市長らしくもありません。同学年の私もまだまだ頑張りますので、市長も名古屋にとどまることなく、そんなことを考えずに、昔からの夢、総理を目指して大きく飛び立ってください。私も心からのエールを送ります。 では、質問に入ります。 初めに、市民の命を守る学校体育館の空調整備について、教育長並びに防災危機管理局長に質問いたします。 学校体育館への空調整備については、私ども名古屋民主市会議員団は、何年も前から市長要望に上げたり、本会議質問や委員会質疑等で幾度もただしたりしてまいりました。また、同様にして、自民、公明、両会派からも要望や質問が重ねられ、学校体育館への空調整備は、議会として一丸となって取り組む課題の一つであり、市民のために行うべき必要不可欠な事業となってきています。なぜなら、学校体育館の空調整備は、一つには子供の命を守るためのものであり、一つには災害時などでの被災者の命を守るためのものである。つまり、広く名古屋市民の大切な命に関わるための空調整備であるからです。 そのようにして、学校体育館の空調整備についてみんなで長年要望している間にも、近年は、気温の上昇や夏場の猛暑の日常化、豪雨や台風、地震などの自然災害が頻発し、巨大化、甚大化して、世界的にも異常気象が続いています。 悲しいことに、熱中症によって命を落とすという子供もあり、日本中で頻発する熱中症に対応して教室への空調が叫ばれ始め、平成30年度において、国の臨時特例交付金が下りることになりましたが、本市では、既に平成27年度には、他都市に先駆けて小中学校の普通教室への空調が完備されていました。世論や報道で熱中症から子供を守るために教室の空調が必要であるとの声が高まり、やっと国の臨時特例交付金を活用して本格的に普通教室の空調を整え始めた他都市と違い、校舎の耐震対策と同じく、他都市に先駆けて小中学校の普通教室の空調整備を僅か3年で完了させたのは、御承知のとおりです。必要性・緊急性をいち早く捉え、整備すると決定してからの計画的で迅速な整備完了は、子供たち、保護者の皆さんに大きな安心感を与えたものであると思います。 現在は、音楽室や図書室などの特別教室の空調整備が進められていますが、しかし、子供たちが日常的に授業や部活動などで使用する学校体育館の空調については、全く進んでいません。そのため、学校体育館の空調の必要性については、前述の市長要望や本会議質問、また、委員会での質疑が繰り返されてきたところです。最近では、本年2月の代表質問で公明党が、また、6月の個人質問で自民党がただされ、民主の私も個人質問の中で申し述べたところです。これによっても、体育館の空調という大きな問題は、一個人や一会派の枠を超えて、名古屋市議会全体で取り組むべきものとなっていると言えるのです。 以上述べてきたように、これまでの各会派の市長要望や委員会審議、本会議質問などによって、少しずつではありますが前進してきた学校体育館の空調整備に対する当局の方向性は、今年度は、職員による他都市の訪問調査と専門業者による外部委託調査を行うことになりました。 そこで、教育長にお尋ねします。 外部委託調査についてはまだ結果が出ていないと思いますが、まずは、この夏に行った他都市への訪問調査については実際に視察して得られた調査結果が出ていると思いますので、その空調の効果や課題についてお答えください。 また、日常的に子供たちの大切な命を預かる立場の教育長として、命を守るための学校体育館の空調整備をどのように考えているのか、改めてお尋ねします。 さて、一方で、私ども名古屋民主市議団は、体育館が災害時の避難所として重要な役割を果たすことから、防災危機管理局にもその必要性をただしてまいりました。 避難所としての体育館は、酷暑の夏も極寒の冬も、避難されてきた被災者の方々が、いつでも安心して安全に過ごしていただける場所でなくてはなりません。避難されてくる皆さんは、高齢の方、障害を持った方、幼い子供、妊産婦さん、まさに老若男女、中には、当然、体調が優れない方もいらっしゃいます。 今夏は、新型コロナウイルス感染症流行後、初めての夏でした。ウイズコロナの新しい生活様式の代表例として、マスク着用が推奨されていますが、そのマスク着用を原因とした熱中症が増加しているとの報道がなされていたと記憶しています。 厚生労働省からも、屋外で人と十分な距離が取れる場合は、熱中症対策としてマスクを外すことを推奨していますが、避難所は、災害時には多くの市民が集まる場所であり、災害時の体育館の中では、新型コロナウイルス感染症対策としてマスク着用は必須となります。長引くコロナ禍で、これまで以上に避難所における熱中症リスクは上がっており、コロナ対策としても、体育館への空調整備は重要であると思います。 災害時に主要な避難場所となる学校体育館の空調整備については、多くの市民の皆さんが一日も早く全小中学校の体育館への整備を完了させてほしいと、そんな思いでありましょう。しかし、全小中学校等合わせて400校近くにもなることから、短期間で整備を完了させるのは、予算や職員の人員等、組織体制などの課題もあり、大変難しいことであるのも事実だと思います。これらのことから、避難所としての学校体育館の空調整備に当たっては、計画的に進めていく必要があると思います。 そこで、これまでの東日本大震災、熊本地震、平成30年7月豪雨など、様々な激甚災害における教訓や経験などの蓄積から得たノウハウなどを有する防災危機管理局として、近年の災害傾向とともに、本市域のハザードの状況や地域特性を鑑みて、避難所整備の完了期限と整備の優先順位をしっかりと検討、確立して進めていく必要があると思いますが、防災危機管理局としてどのように考えていらっしゃるのか、防災危機管理局長にお尋ねします。 次に、ICT環境整備後の支援体制づくりについて、教育長に質問させていただきます。 私ども民主会派では、これまでも、Society5.0のような社会で予測不能な未来の荒波を生き抜いていくために、今から将来を見据えての教育が必要であると提唱し、1人1台端末の整備を含めた学校のICT環境整備を早急に行う必要性を説いてまいりました。 平成28年11月議会では、我が会派の森議員が、より個別の支援を必要としている特別支援学校へのタブレットの整備について質問をしてその端緒を開き、平成29年にはモデル校として西養護学校に、平成30年には他の全ての特別支援学校に99台のタブレットの整備を行うことができました。 また、平成31年2月議会では、我が会派の橋本議員が、学校教育におけるICT環境の整備の指針について質問をし、その後、令和元年から小学校のコンピューター室のコンピューターが20台からタブレットを含む40台に順次拡大されていくことになりました。 しかし、今年になってからのコロナ禍で社会の産業構造が刻々と変化していく中で、教育の分野でも、文科省がGIGAスクール構想の加速を打ち出し、児童生徒の1人1台端末の導入を推し進め始めました。国はこれまで、自治体のICT整備は地方財政措置でという姿勢を崩していなかったのですが、このコロナ禍において一気に補助金を打って、今年度中の1人1台端末の納品を目指しているわけです。 そこで、本市の状況を見てみますと、今年度中に36校のみが1人1台端末を導入できる見込みであると聞いていましたが、6月の補正で9万台が予算計上され、11月補正では残り全ての1人1台端末が補正予算案に計上されています。つまり、遅くとも来年度中には1人1台端末が入る見込みとなったということになるのです。 さきにも述べましたが、我が会派はこれまでも、予測不可能な未来であるSociety5.0のような社会で生き抜いていく子供を育てることが重要であり、そのための1人1台端末を含む学校のICT環境整備が重要であると提唱してきました。国も、学習指導要領の方向性として、予測できない変化を前向きに受け止め、主体的に向き合い、関わり合い、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となるための力を子供たちに育むことが喫緊の課題であると示していますので、そのためには、ICT環境整備は欠かせないものであるとずっと申し上げてきたわけです。 しかし、このICT環境整備は、本市の教育の根幹でもある子供一人一人を大切にする学びを実現していくためのものでなくてはなりません。仏つくって魂入れずということになってはならないのです。そのためには、毎日、文房具のように使用しなくてはならないでしょうし、時には教科書代わりになるでしょうし、ノート代わりになることもあるでしょう。そのようにして、子供たちがちゅうちょなく自らの疑問や興味・関心を持ったことを調べ、確かめ、物の見方や考え方を広めたり深めたりすることができるようになることが望まれます。そうなってくると、保護者も含めて、毎日使うことが当たり前というように見られてくるわけです。 ところが、現実に私に届いているのは、子供たちに指導するだけの力量がすぐには備わっていない自分たちが本当に毎日活用できるようになるのだろうかとか、インターネットしかできないのなら子供たちはどうやって毎日有効活用するのだろうといった、先生方の不安な声ばかりです。私は、以前教員をしておりましたので、このような先生方の声はよく理解できますし、私が今、現職であったとしても、やはり同じような不安でいっぱいになると思います。どの学校でも今まで経験したことのないICT環境の急速な整備となるため、当然のことだと思います。 そこで、教育長にお伺いします。このような学校現場の不安な声を踏まえた上で、教育委員会として、1人1台端末の有効な活用に向けてどのような準備をしてきたのか、また、どのような支援を行おうとしているのかをお答えください。 これで、私の1回目の質問を終わります。(拍手) ◎教育長(鈴木誠二君) 教育委員会に対しまして、市民の命を守る学校体育館の空調整備について並びにICT環境整備後の学習支援体制づくりについてお尋ねをいただきました。 初めに、市民の命を守る学校体育館の空調整備に関し、他都市調査の結果と教育委員会の考えについてでございます。 今年の夏に、教育委員会及び関係局の職員で、学校の体育館に空調が設置され始めた横浜市をはじめ5都市を訪問調査いたしました。訪問した都市では、それぞれ整備内容に違いはございましたが、外気温に比べ室温・湿度ともに低くなっており、学校体育館への空調設置につきましては、私どもが想定していた以上に効果があることが確認できました。また、訪問先の学校の教職員からは、夏場に安心して体育館を使用できるようになったとの声を聞いてまいりました。 一方で、設計時に十分な時間をかけて整備内容を検討しなかった結果、室外機の音が想定より大きく近隣からの苦情が発生した都市や、整備後に、災害による停電時においても稼働できる空調が必要ではないかとの声が上がり、急遽、翌年度の設置分から停電対応型の空調設備を導入することとなった都市の話もお聞きしたところでございます。 教育委員会といたしましては、今申し上げました職員による先進都市での視察で得られた効果や課題を関係局とも共有しつつ、現在行っております専門業者による外部委託調査の結果を踏まえ、学校体育館への空調整備について検討してまいりたいと考えております。 次に、ICT環境整備後の学習支援体制づくりについてでございます。 議員御指摘のとおり、機器の活用につきましては、学校からの不安の声が学校環境整備の担当部署に届いております。 端末の導入を含むICT環境の整備に向けましては、現在実施している有識者による検討会議の意見を踏まえて、機器の活用を促進するソフトウエアの選定を行ってまいりました。また、現在端末の配備を進めております先行導入校へは、指導主事が訪問し、ソフトウエアの活用方法や授業での具体的な活用事例などについて研修を行う予定でございます。 来年度に向けましては、各校教職員による先行導入校への視察や教育センターで実施をする授業等での端末の活用方法についての研修の充実について計画するなど、活用促進に向けての支援体制づくりに努めているところでございます。 ICT支援員につきましては、今年度中に先行導入校向けに4名配置し、1人1台端末の活用支援を行う予定でございますが、来年度に向けましては、ICT支援員の増員についても検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。
    防災危機管理局長(渡邊正則君) 防災危機管理局に対しまして、学校体育館の空調整備に関する防災危機管理局の認識についてお尋ねいただきました。 指定避難所における暑さ寒さ対策につきましては、物資供給協定締結事業者からスポットクーラーや石油ストーブなどの冷暖房器具を調達できるよう準備を進めるとともに、毛布の備蓄などを行ってきたところでございます。 指定避難所へ避難された方が安心して安全に過ごしていただけるよう、指定避難所である学校体育館に空調を備えることは、避難所における良好な生活環境の確保を目指す上で有用だと考えます。 防災危機管理局といたしましては、過去の災害から得られた知見を生かし、災害に強い空調を整備できるよう、これまでも教育委員会と連携して検討してきたところでございます。空調整備に当たっては、昨今の頻発し激甚化する自然災害へ対応していくためにも、議員お尋ねの本市域のハザードの状況や地域特性を踏まえ、整備の完了期限や優先順位について、引き続き教育委員会と連携して検討してまいりたいと存じます。 ◆(うかい春美君) それぞれ御答弁いただきました。 まず、ICT環境整備後の学習支援体制づくりについて、教育長に再質問させていただきます。 教育長からは、ICT環境整備に向けての支援体制について前向きな答弁をいただきました。 確かに、タブレットの導入時にインターネットやオフィス系のソフトだけが使える状態で学校に導入されたら、先生方は困ってしまうと思います。特に小学校では、幼稚園や保育園を卒園したての1年生が使うこともあるわけですから、そんな子供たちが毎日使うためのソフトウエアの慎重な検討が有識者会議でなされていたということは、大切なことであると理解します。 また、先行導入校の指導主事の訪問研修はもちろんのこと、全校導入時に際しての教員への研修の充実は当然必要なことでありますし、万全の支援体制を取らなければならないと思います。とりわけ、教員の研修を担う教育センターの役割は重要だと思います。 今までも学校にはコンピューター室がありまして、教育センターを中心に教員へのコンピューター研修が行われていたことは承知していますが、しかし、私の知る限り、各学校では週に1回程度コンピューター室で学習したらかなり活用している部類に入っていると、それぐらいなかなかコンピューター室の活用が進んでいなかったように聞いております。 ところが、そのような状況の中で、今回は短期間で全ての児童生徒に端末が導入されるわけです。使いやすいソフトの導入やセンターの教員研修をはじめとする支援だけでは、全ての教員が子供たちに端末を有効に活用させることができるとは思えません。これまで、コンピューター室の利用が思ったほど進まなかったのも、ソフトの充実や研修だけでは足りなかったということのあかしではないのでしょうか。 全ての子供たち一人一人が十分に端末を活用できるように指導する学校の先生方にとって、ICTが整備されたときに一番不安になるのは、タブレット等の機械的なトラブルだと思います。そのときに助けてくれるICT支援員がいてくれたら、不安なく活用できるのではないかと考えます。このICT支援員については、文科省も4校に1人程度は必要であると言っています。 そこで、教育長に再質問させていただきます。先ほどは、1人1台端末の全校導入に向けて、ICT支援員の増員についても検討してまいりたいという答弁をいただきました。しかし、本市は、小・中・特別支援学校合わせて380校近くあり、およそ18万台もの端末が学校に導入されるのですから、単純に計算して90人以上のICT支援員が必要であると考えます。この点について、教育長の見解をお伺いします。 ◎教育長(鈴木誠二君) 教育委員会に対しまして、ICT支援員の増員について再度のお尋ねをいただきました。 ICT機器の導入は、子供たちが主体的に楽しく学習できるような環境を目指しているものでございまして、機械トラブルなどでその学習が途切れることがないように、支援体制をしっかりと整える必要があると考えております。具体的には、先行導入校でのICT支援員の活用状況も踏まえながら、文部科学省が目標として示す水準に向けた増員について検討してまいりたいと存じます。 以上でございます。 ◆(うかい春美君) ICT支援員の増員について、今、国が目標として示す水準に向けた増員について検討してまいりたいとおっしゃいました。つまり、文科省の示す4校に1人の基準、イコール90人に近いICT支援員を確保するとの前向きな答弁であると受け止めます。 タブレット端末のモデル校である矢田小学校では、ICT支援員さんがいらっしゃるおかげで、タブレット導入当時に不安がっていた先生が、今ではタブレットがないと授業がうまくできないとまでおっしゃられていると聞きました。まさに、タブレット端末導入がうまくいくかどうかは、ICT支援員の配備にかかっていると言っても過言ではありません。一刻も早く文科省が示す4校に1人のICT支援員の配備を実現するよう要望して、この件に関しての私の質問を終えさせていただきます。 続きまして、学校体育館の空調整備についての答弁いただきましたので、意見、要望、再質問もさせていただきたいと存じます。 先ほど教育長から、横浜市をはじめとした5都市の調査結果から、体育館への空調設備設置は想定した以上の効果があることが確認できた、また、夏場に安心して体育館を使用できるようになったとの教職員の声を聞いているとの、空調整備の効果について答弁いただきました。また、室外機の音が想定より大きくて近隣からの苦情が発生した、整備後に災害による停電時において稼働できないことを心配する声が上がったなど、幾つかの課題もあったとのことでした。そして、専門業者による外部委託調査の結果を踏まえ、それを関係局とも共有して、学校体育館への空調整備について検討するとの答弁をいただきました。 教育長の、大切な子供の命を守るためには学校体育館への空調整備を迅速に進めたいとの思いは、改めて受け止めました。だからこそ、調査を早期に終えて、予算をしっかり取って、学校体育館への空調整備を進めていただくように要望しますし、財政局も市長も、これからの予算編成に向けて前向きに対応していただくようにお願いをいたします。要望いたします。 また、体育館への空調設置を進めていただく一方で、他都市に比べて整備が遅れている特別教室への空調設置、それから、古くなった既存の空調設置の更新も忘れないで併せて行うよう要望しておきます。 さて、防災危機管理局長からは、指定避難場所である学校体育館に空調を備えることは、避難所における良好な生活環境の確保に有用であるとの認識とともに、整備に当たっては、本市域のハザードの状況や地域特性を踏まえ、整備の完了期限及び優先順位について教育委員会と連携して検討していくとの答弁をいただきました。そうなんです。防災危機管理局のその姿勢がこれまでも必要だったのです。 学校体育館は、子供たちの教育活動の場であるとともに地域の主要な避難所であることから、防災担当部局が主体となって空調を整備している都市もあると、そんなことも聞いております。 本市も、本年度は、避難所に配備する空調整備として、必要な機能について教育委員会と連携して検討を進めているとのことですし、今年度実施している外部委託調査についても防災危機管理局も予算を出し合って取り組んでいるというふうに伺いましたので、その役割、大いに期待をしております。 先ほどの教育長の答弁にあった課題の一つに、整備後に災害による停電時において稼働できないことを心配する声が上がったとの報告がありましたが、今後、本市においても調査・検討を進める中で、防災面での様々な課題が生じることが予測されます。そんな危機的状況を未然に防ぐためには、防災危機管理局の知識と経験を発揮する必要があり、さらなる連携が必要となってくることを強く指摘しておきます。重ねて申しますが、災害時に避難場所や避難所として指定した以上、防災危機管理局としても、教育委員会と同じ立場に立って、主体的に学校体育館の空調整備に取り組むべきものであるのは言うまでもありません。 さて、ここで、筆頭副市長である堀場副市長に再質問させていただきます。 大規模地震や豪雨などの自然災害はもとより、異常な暑さへの熱中症対策や新型コロナウイルスなどの感染症対策など、避難所の整備や運営などにおいては、新たなニーズや課題への対応が早急に求められており、市全体で精力的に取り組んでいくことが公助としての責務であると考えます。体育館空調の整備もその一つであり、市として必要なものへの積極的投資でもあります。また、学校体育館は、学校の教育活動や災害時の避難所としての活用だけでなく、スポーツ、地域活動等様々な活用が見込まれるなど、全市民が活用するものとなります。 それゆえ、学校体育館の空調整備に当たっては、どこの局が、どこが担当だというよりも、全市一丸となって取り組むべき施策であることは自明の理であります。子供たちの命を守ることはもとより、災害時に避難された方々の避難生活の環境確保のため、また、学校体育館を活用する市民の皆様のためにも、学校体育館の空調設備の一日も早い整備が求められております。 そこで、3副市長を代表して、筆頭副市長である堀場副市長に、しっかりとリーダーシップを発揮して関係局間の調整を図り、一日でも早い小中学校全体の体育館空調整備の完了を目指してもらいたいと思いますが、その決意をお伺いします。また、その整備のスタート時期はいつ頃になるとお考えなのかも併せてお答えください。 ◎副市長(堀場和夫君) 学校体育館の空調整備につきまして、私の決意をお尋ねいただきました。 学校体育館に空調設備を備えることは、日常的に体育館を使用する子供たちの命を熱中症から守り、また、災害発生時における指定避難場所の良好な生活環境の確保に資することから有用であると認識しております。 また、本市においても、年々深刻化する酷暑といった昨今の状況に鑑みますと、学校体育館への空調整備は喫緊の課題であり、議員御指摘のとおり、全市一丸となって取り組むべき施策であると認識しているところでございます。 議員お尋ねの整備開始の時期につきましては、学校体育館の空調に求められる機能や必要となる経費などにつきまして、現在、専門業者による外部委託調査を行っておりますので、その調査結果を踏まえ、スピード感を持って検討を進め、市を挙げて取り組んでまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。 以上でございます。 ◆(うかい春美君) 今、堀場副市長から、学校体育館の空調整備が有用であるという認識と、また、スピード感を持って市を挙げて取り組むと、そんな答弁いただきました。 しかし、一日でも早い整備完了を目指さなければならないということで私は申し上げましたけれども、その決意について、もう一度お答えいただきたいと思います。 ◎副市長(堀場和夫君) 一日でも早い整備完了を目指すことについて、再度、決意をお尋ねいただきました。 議員御指摘の一日でも早い整備完了を目指すことにつきましては、教育委員会を所管いたします廣澤副市長をはじめ関係各局との連携を図りながら、全力で取り組んでまいります。 以上でございます。 ◆(うかい春美君) 一日も早い整備完了を目指すというところでとどまっているわけではございますが、その一日も早いという副市長の決意と手腕に期待することにいたしましょう。本当は、スタート時期や完了時期などお尋ねしたいところではございますが、一日でも早い整備完了ということを言葉にされ、そして、ここで宣言されましたので、私どもとしては、そうですね、もう令和3年度内に着手する意気込みと、そんなふうに受け取らせていただきます。 整備のスタート時期につきましてですね、今、令和3年度には着手する意気込みだと受け取りましたと申しましたけれども、先ほど、スピード感を持って検討を進めるという答弁で、スタート時期のことは御自分からは明確にはされませんでしたけれども、残る外部調査の結果を経て、出てきた様々な課題に対応しながら、おっしゃるようにスピード感を持った検討を重ねるとすれば、おのずからそのスタート目標時期は明らかになってまいります。 繰り返しますが、今回の猛暑と同じように、来夏も今夏以上の猛暑となり、熱中症の危険も大きくなると予想されます。また、新型コロナ感染症の終息も見通せない現状でございます。そこに頻発する豪雨、台風、今すぐに起きるかもしれない南海トラフ巨大地震等、自然災害は頻発しています。今すぐにでも体育館の空調が必要なときに、スピード感を持って検討するとするならば、市民の期待も--市民の期待も、来年度中にも着手することではないのでしょうかというふうに思われると思います。 繰り返しとなります。これも学校体育館への空調整備は、教育委員会や防災危機管理局と共に、住宅都市局、スポーツ市民局、子ども青少年局、健康福祉局など全局が一つになって取り組むことだと考えます。全市民の命を守るための施策なのですから、全ての名古屋市民にとっての重要な事業でございますので、ぜひともしっかりとスピード感を持ってというこのことを、そして全市で取り組むと、このことを忘れないで一丸となって前に進めていただくように、そして丁寧に進めていただくようにお願いいたします。 また、せっかく空調が整理されても必要なときに使えないようでは意味がございません。設置費用だけではなくて、運用時のランニングコストや将来的な更新費用についても、教育活動や地域活動、災害時などの空調使用に支障が出ないように十分な予算措置をしていただくよう、堀場副市長の--繰り返して申しますが--リーダーシップ、その下で、伊東副市長、廣澤副市長、3副市長が一つになって市行政を束ね、まとめ、市民の命を守るための学校体育館の空調整備に全力を尽くしていただくよう改めて強く申し上げまして……、そうそう、もちろん私どもも、議会も一丸となって、市民の命を守るためのこの学校体育館の空調整備の推進をしっかりと応援してまいります。みんなで一緒になって盛り上げて、そして実現していく、そんな事業として、皆さんと一緒にやっていこうではございませんか。 以上で、私の全ての質問を終わります。(拍手) ○副議長(山田昌弘君) 次に、豊田薫君にお許しいたします。    〔豊田薫君登壇〕 ◆(豊田薫君) お許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問いたします。 まず初めに、名古屋市の宝である大切な子供たちの未来を守りたいという思いで、子ども青少年局長に質問いたします。 平成31年2月定例会において我が会派の代表質問で、子どもの権利擁護機関と児童相談所やなごや子ども応援委員会の関係性についてお尋ねしましたところ、子ども青少年局長は、子どもの権利擁護機関が市民全体で子供の権利を守る意識を醸成し、子供の権利の保障の観点から、相談機関等の連携を図ってまいりますと答弁されました。翌月には、名古屋市子どもの権利擁護委員条例が公布され、その中の第1条には、「子どもの権利を守る文化及び社会をつくり、子どもの最善の利益を確保するため、本市に市長の附属機関として、名古屋市子どもの権利擁護委員を置く。」と定められ、令和2年1月14日、条例に基づく名古屋市子どもの権利相談室「なごもっか」が開設されました。 この機関の大きな特徴は、子供の意見の表明権と子供の最善の利益を重視し、子供の権利を中心に動く独立性を持つ公的な第三者機関であり、他の機関への調査や調整、そして、勧告や要請の機能を持つことです。 一方で、本年9月に国連児童基金--ユニセフが出した、先進国や新興国などOECD加盟等38か国に住む子供の精神的な幸福度の調査報告書によると、日本の子供は、身体的健康は第1位であるにもかかわらず、生活満足度の低さ、自殺率の高さから導き出される精神的な幸福度が37位と最低レベルになりました。15歳から19歳の10万人当たりの自殺率は、ギリシャが1.4人と最も少なく、日本はその約5倍の7.5人となり、未来ある子供の死亡要因は、病気や事故を差し置いて、自殺が第1位になっております。 文科省のデータによると、子供の自殺の最も大きな部分は、学校要因です。個人要因、家庭要因がそれぞれ2割程度の割合ですが、未来ある子供の成長や教育に重要な役割を持つ学校要因が4割を超えて突出していることは、大変ゆゆしき問題であると考えております。それらを踏まえ、まず、子供の自殺、不登校、不安や暴力といったような様々な問題の温床となり得る学校という環境に注目することが求められます。 子供がここにいたいと思う学校の環境をつくることが、子供の学ぶ権利や自分らしく生きる権利を守ることになります。それによって、自分には生きる価値がないと思う子供が減り、子供が自殺を考えるような文化はつくられません。子供が置かれた環境に注目し、問題を発生させる雰囲気や体制といった環境を変える活動をしなければ、勧告ができる権限を持った「なごもっか」をつくっても、本格的な権利擁護機関としての機能が十分なものにはなりません。個々の問題に当たっても、問題自体は次から次へと生じて、なくなることはありません。 本市「なごもっか」の第一義的使命は、先ほども言いましたとおり、子供の権利を守る文化及び社会をつくることです。言い換えると、子供の権利侵害から救済するだけでなく、子供の権利侵害を予防することを重視する働きを持たなければならないと考えます。 さきを踏まえ、子ども青少年局長に2点お伺いいたします。環境整備という観点から予防は大変重要であり、3段階に分かれていると捉えております。問題を発生させない環境を保障する第1次予防、既に問題が起きている事例について早期対応し、問題が大きくなる前に防止する第2次予防、さらに、問題の再発や関連する問題の発生を防止する第3次予防です。 初めに、問題を発生させない環境に注目する第1次予防については、「なごもっか」は具体的にどのような取組をされるのか、御答弁ください。 次に、学校には、名古屋市独自の取組として、常勤の子ども応援委員会のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが設置されておりますが、そのような学校援助職は、教員と異なる立場で、子供の権利が守られているかどうか学校をモニタリングする重要な業務があります。守られていなければ即座に手を打たなければなりません。子ども応援委員会も、スクールカウンセラーの人材育成等、名古屋市立大学と連携活動を実施しております。 そこで、2点目の質問をいたします。子供の権利を保障し権利侵害から子供を守ることは、「なごもっか」のみならず、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの重要な仕事と考えております。そこで、「なごもっか」は、これらの学校援助職とどのように連携していくことを想定しているのかお答えください。 続いて、久屋大通庭園フラリエにある樹齢400年以上のツブラジイの今後について質問いたします。 400年以上といえば、今年は名古屋開府410年になりますので、この木は江戸時代より名古屋の全てを見守り続けてきたと言えます。 お手元の写真を御覧ください。 ツブラジイとは、スダジイと共に、日本に2種類あるシイの木の一種です。秋にはつぶらな瞳のようなかわいい実をつけます。 本題に入ります。 栄エンゼルパーク駐車場東側に南久屋小学校跡という石碑がありますが、この南久屋小学校は、昭和20年の大空襲で焼失し、その後、他の2校と統合され、昭和22年、現在の栄小学校に引き継がれました。昭和55年2月に行われた第1回南久屋小学校同窓会のプログラムの表紙には、シイの木のイラストが描かれ、式次第には、老木の歌の合唱、さらに、名古屋市南久屋小学校、老木踊りというレコードも確認いたしました。当時の同窓会名簿には、海部元総理、河村市長のお母様のお名前もありました。校庭の木は小学校と共に焼失してしまいましたが、小学校の近隣の松坂屋東側にある旧中区南鍛冶屋町に、この木と同様に市民に愛されていたツブラジイの木がありました。 戦火を免れたツブラジイは、当時は根元が2株に分かれ、幹周り1メートル以上のものが16本株立ちしており、市内最大のシイの木でした。また、この木は、昭和29年、名古屋市の当時の要綱に基づき、市指定天然記念物になりました。 久屋大通の整備に伴い支障になったので、昭和42年、約400メートル南の大須四丁目に移植されました。この後、名古屋市文化財保護条例の施行に伴い、昭和47年3月、従来の名古屋市の要綱の廃止により、ツブラジイは市指定天然記念物から解除されました。 現在、市指定天然記念物である木は、昭和区宝珠院のイヌナシ、西区大乃伎神社のボダイジュ、南区村上社のクスノキの3件です。 推定樹齢400年以上と思われるこのツブラジイは、1本の幹を残し、戦災で焼けて大けがをした幹も含め、腐朽して枯れ幹となっております。枯れ幹の総幹周りは6メートル55センチで、ひこばえが12本群生し、命をつなぎ、当時の偉観をしのばせています。この木の周辺は、現在、久屋大通庭園フラリエ--旧ランの館となり、ツブラジイは、久屋大通庭園事務所の脇の狭い場所に生育しています。この奥まった場所まで、この木を拝みに見える方がおります。 専門家の所見によりますと、詳細な調査診断はしておりませんが、この木の現在の立地環境は、東側に建物があり、水はけについては1段高いところにあるので、雨水排水としてはよい状況です。しかし、東側は、建物沿いに地下奥まで掘り下げられているコンクリートの壁になっており、良質な土で埋め戻すのが理想ですが、東側の建物が障害になり、根が伸びていく環境がなく、根から水分を取ろうとすると、周辺が舗装されているので、乾燥ぎみであるかもしれません。新しい根が伸びる範囲としては、全方向とも石垣や舗装で固められていますので、街路樹が道路に植えられている環境に近く、さらに枝を伸ばすには、東側の建物の壁が邪魔をしており、また、西側の枝は歩道に覆いかぶさるように伸びております。現在のところ、健康上の問題はないようですが、地域の方から、この先、今のままこの狭いコンクリートに囲まれた場所で、この木が長生きできるのだろうかという不安から、安住の地へ移植を望まれる意見もお聞きしております。 名古屋は、江戸時代には御三家筆頭尾張徳川家の城下町として栄え、その後、近代から現代に至るまで、濃尾地震やスペイン風邪、戦災、伊勢湾台風などの困難を市民の力で一つ一つ乗り越えながら、大都市として発展してきました。この木は、その姿をずっと見守り続けてくれました。それなのに、残念ながら市民は、この木をあまり知ってはおりません。歴史探求家からも、このツブラジイが、この先100年長生きできるように後世まで大切に保全し、歴史的資源として市民に広く広報周知し、継承していただきたいと御意見もいただいております。 ここで、緑政土木局長に2点お伺いします。 専門家の所見を踏まえると、後世に伝えられるように、この木を長年にわたり保全していくためには、生育環境のよい場所への移植も含め環境整備をする必要があると考えておりますが、本市は今後どのようにこの木を保全していくお考えなのか、御答弁をお願いします。 その上で、コロナ禍において不安を抱える市民に、我々の先人たちをずっと見守り続けてくれたこのツブラジイをどのように広報周知していただけるのか、お答えください。 以上で、第1回目の質問を終わります。(拍手) ◎子ども青少年局長(杉野みどり君) 子ども青少年局には、名古屋市子どもの権利相談室「なごもっか」における子供の権利を守る取組について、2点のお尋ねをいただきました。 まず、子供の権利侵害の予防についてでございます。 子どもの権利相談室「なごもっか」は、子供の権利を守る文化及び社会をつくり、子供の最善の利益を確保するために設置された子どもの権利擁護機関であり、子供の権利侵害に関する相談に応じるだけではなく、調査、勧告等を行うとともに、子供の権利に関する普及啓発を行う機関です。 子供の権利を守る文化及び社会をつくり、子供の最善の利益を確保するためには、権利侵害への対応のみならず、問題の発生を未然に防止するという観点からの取組が重要であると認識しております。「なごもっか」では、これまでにも問題を発生させない環境に注目する第1次予防の観点から、施設職員や教職員等を対象とした講演会や研修といった場を活用し、普及啓発の取組を進めてきているところでございます。また、機関紙やカードの配布、ウェブサイトでの情報発信等で、より幅広い周知にも取り組んできているところでございます。 今後は、さらに保護者や地域の方へのPRやインターネットを活用した周知を進めるなど、広く子供の権利についての理解が進むよう働きかけをしてまいります。 子ども青少年局といたしましては、子供を権利の主体とし、子供の健やかな育ちを社会全体で支えていくことができるよう努めてまいりたいと考えております。 次に、学校援助職との連携についてでございます。 子供の権利を保障するためには、子供に関わる関係機関が子供の権利を守る意識を持ちながら連携して協働していくことが必要であると認識しております。 「なごもっか」にお寄せいただいた相談には学校に関連した内容も多く、学校に常駐している子ども応援委員会の学校援助職との連携は大変重要であると考えております。「なごもっか」は、子供の最善の利益を確保する観点から子供の権利擁護の取組を行う機関であり、一方、子ども応援委員会は、子供にとって最もよい環境づくりを学校と一緒に考え活動する組織であり、共に子供を支援する役割を担っていますことから、これまでにも研修、視察等により、お互いの機能や特性の理解の促進に努めてきたところでございます。 今後も、子供の視点に立ち、子供の健やかな育ちを支えるという共通認識の下、連携のための取組を前に進めるよう関係局と協議してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◎緑政土木局長(酒井康宏君) 緑政土木局に対しまして、久屋大通庭園フラリエにある樹齢400年以上のツブラジイの今後についてお尋ねをいただきました。 ツブラジイは、5月から6月の開花時期に木全体が黄金色になり、その翌年の秋には直径1センチほどの小さくて丸いつぶらな果実を実らせる常緑広葉樹であり、市内では守山区一帯を中心に広く分布しているシイの木でございます。 議員御指摘の木は、移植後に古い幹1本に加え新しい幹も成長していることから、手当てが必要な状態ではないと考えておりますが、一方で、フラリエの建物と道路に挟まれ、また、南側の樹木と近接しているため、生育に十分な環境でないと認識しているところでございます。 当局といたしましては、このツブラジイの語り継がれてきた歴史について機会を捉えて広く周知に努めるとともに、保全に当たっては、専門家の意見を伺いながら、今後も引き続き適切な維持管理に努め、必要に応じて移植についても検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◆(豊田薫君) それぞれに御答弁いただきました。 時間の都合もございますので、端的に意見、要望を述べます。 子ども青少年局長には、子供の問題を発生させないための第1次予防の観点から、施設職員や教職員等を対象とした取組について御答弁いただきました。 「なごもっか」の取組は、どれだけの人に子供の権利を守るということを正しく捉えていただけるかが重要だと考えております。広く子供の権利について理解が進むように、情報発信を引き続き推進していただきながら、講演の回数だけでなく、どれだけ伝わっているか、子供の権利を正しく捉えている施設職員や教職員等を数字という客観的な指標で示し、継続的に追跡していただくことを要望いたします。 次に、子ども応援委員会との連携については、共に子供を支援する役割を担うことから、教職員、子ども応援委員会、「なごもっか」が、学校で起きてしまった先生に言えない問題に対しても、それぞれの立場で独立性を持って機能できるように働きかけていただくことを強く要望いたします。 次に、緑政土木局長、ツブラジイの語り継がれてきた歴史を広く周知に努めるとともに、専門家の意見を伺いながら今後も引き続き維持管理に努め、必要に応じて移植も検討し保全していただけるとの御答弁、ありがとうございました。 私たちは、今、経験したことのないパンデミックに遭遇しています。コロナ禍の苦しいときこそ、この木から生命の力強さを学ぶとともに、人々の感性に訴えかける広報周知を要望いたします。本市のたくましさを長年にわたり見守り続けているツブラジイが、100年後も大切に保全され、市民に広報周知することで、少しでも市民の活力になることを願って、私の質問を終わります。(拍手) ○副議長(山田昌弘君) 次に、さかい大輔君にお許しいたします。    〔さかい大輔君登壇〕 ◆(さかい大輔君) お許しをいただきましたので、通告に従い、ヤングケアラーへの対応について質問をさせていただきます。 皆様、ヤングケアラーという言葉を御存じでしょうか。ヤングケアラーとは、日本語でいうと若年介護者となり、厚生労働省の資料によると、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負って、本来大人が担うような家族の介護や世話をすることで、自らの育ちや教育に影響を及ぼしている18歳未満の子供と定義をされております。 現在、国内にどれくらいのヤングケアラーがいるのか明確に把握されてはおりません。把握が困難な要因として、家庭内のことで外部から分かりにくいことや、子供自身がヤングケアラーだと認識しておらず、周りに相談ができないといった理由があるようでございます。しかしながら、将来の名古屋を担っていく宝の子供たちが、大事な成長過程において、自身の将来のための学びや友人と触れ合うなどの青春の貴重な時間を損なっているおそれのある現状を、このまま見過ごしてよろしいのでしょうか。 平成30年度に厚生労働省が要保護児童対策地域協議会を対象に行ったアンケート調査によると、ヤングケアラーという概念の認識について、「認識している」が27.6%にとどまり、その中で、実態を「把握している」と回答したのは34.2%という結果でした。まずはヤングケアラーとは何かを広く世間に周知する必要がございます。 しかし、ヤングケアラーは、間違いなく私たちの周りに確実に存在いたします。より早く見つけ出して救っていかなければなりません。ここで、ヤングケアラーの具体的な事例を三つ御紹介させていただきます。 Aさんは、母子家庭で、精神的な病を抱える母親を支えながらの生活。母親は、気持ちが落ち込むと家事ができなくなるため、家事はもちろん、兄弟の世話もしながら学校に通っておりました。学校から親への様々な連絡も自分で対応し、精神が不安定な母親を365日支え、Aさんもこの生活が当たり前だと思い、誰にも相談をしておりませんでした。リストカットするなど常に不安定な母親にどう接したらいいのか悩み苦しんでいたと言います。家の中のことを誰にも知られないように振る舞い、学校に通っていたそうです。 続いて、Bさん。母親が双極性障害を抱えていました。躁状態では、夜中、家中を動き回り、昼夜逆転の生活になり、Bさんも朝まで心配で付き添っていたそうです。また、鬱状態になると何もできなくなるため、自分が全て家事を行わなければならなくなります。母親は通院し薬を飲んでいましたが、症状の回復は見込めず、母親の病気に対してどう対応してよいのか分からず苦しんでおられました。母に加え、きょうだいの面倒を見ながら学校に通っていたとのこと。父親は仕事で帰りが遅く、家のことはBさんが担っておりました。 最後に、Cさんであります。幼少期に母親ががんで余命宣告を受けたため、常に母を亡くす不安を抱えたまま生活をしてきました。母親が長期入院、療養に入ると、きょうだいで家事を担うようになり、病が進行してくるにつれて、その負担が徐々に大きくなっていったとのこと。学校の部活動も家事が理由で参加できなくなり、そのブランクが原因で退部に追い込まれました。周りの無理解な言葉に傷つき、誰にも家庭のことについて話さなくなったそうです。母親に医療・介護サービスが入るようになり、大変楽になったそうです。また、医師や看護師から母親の病気への対応について的確なアドバイスを受けることで、精神的に楽になっていったと話されておりました。 以上は、全て私の身近なところで起きている現実でした。ヤングケアラーは、このように我々の身近にいながら、家の中のことで介入しづらく、また、お手伝いと見られてしまうため、なかなか目が向けられていないのです。 ここに御紹介した事例は、子供が中心となり保護者の精神的・身体的な病を介護している例ですが、ヤングケアラーは、介護者に何かがあった場合や、また、日常的にどう接し、どう対応したらよいのか、どこに相談したらよいのか分からず、人知れず悩みながら、時に悲しい気持ちも吐き出せずに、毎日不安な気持ちで生活をしています。子供が担うには重過ぎる責任を抱え、自分が頑張ればと踏ん張り生きています。周りの友達のように勉強したくても、遊びたくても、部活動をしたくても我慢し、誰かのために自分の時間を使っています。 ヤングケアラーの状況は多岐にわたると思いますが、受けられる支援があっても、情報を知らず行政とつながれない場合もあると思います。また、心理的カウンセラーが必要な場合もあると思います。この子供たちの心や体、時間の負担をどう軽くしてあげられるのか、私自身、大変悩みました。 そのような中、ようやく国が実態調査に乗り出す動きを見せており、支援に向けた動きが加速しております。子供たちを取り巻く環境の変化は目まぐるしく、重ねてコロナ禍でさらに多くの負担がヤングケアラーにのしかかっている事態は容易に想像することができ、待ったなしの状況であります。 本市においても、一日も早く実態を把握し、迅速に、そして的確な支援につなげられるよう、全庁的な体制も想定しながら準備を進める必要があるのではないでしょうか。まずは、表面化しづらいヤングケアラーをいかにして見つけ出すか。私は、子供たちが日々通う小学校、中学校などの教育現場にこそ、サーチライトとしての大きな役割があるものと考えます。 そこで、教育長にお伺いいたします。本市では、学校に子ども応援委員会を配置し、日常的に子供たちを見守っていただいているところではありますが、非常に繊細で発見しづらいヤングケアラーに対してどのように対応していくのか、また、今後の具体的な支援につなげるためにどう取り組まれていくのか、御所見をお聞かせください。 次に、未来を担う子供たちの権利が脅かされている可能性が高い状況にあるにもかかわらず、子供自身がヤングケアラーと認識していない、また、声を上げづらい状況があることについて、子供の権利を守る機関である子どもの権利相談室「なごもっか」は、誰一人取り残さないためにどのように考え取り組んでいくのか、子ども青少年局長にお伺いいたします。 ヤングケアラーが抱える負担は、さきに御紹介した事例のとおり、ケアマネジャーによるアドバイスなど福祉的な支援で大分軽減されるものだと考えます。具体的な支援の段階では、福祉サービスの関わり方が重要になるのではないでしょうか。 そこで、健康福祉局長にお伺いいたします。このヤングケアラーに対する認識と、どのような支援につなげていくお考えか、御所見をお聞かせください。 以上で、第1回目の質問を終わります。(拍手) ◎教育長(鈴木誠二君) ヤングケアラーへの対応に関し、教育委員会には、学校での発見と対応についてお尋ねをいただきました。 学校では、登校時や授業時等の活動の様子、様々なアンケート、教育相談を通して児童生徒の状況を把握し、健やかな成長を見守っております。その中で、ヤングケアラーに該当する児童生徒を発見することがございます。学校が発見した場合には、その児童生徒から丁寧に話を聞き、子ども応援委員会と共に、学習面のフォローや心のケアなど学校でできる支援を検討し実施してまいります。一方で、保護者に対しましても、児童生徒の学校での心配な状況を説明し、必要な場合には、区役所民生子ども課など関係機関につないでまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◎子ども青少年局長(杉野みどり君) 子ども青少年局には、ヤングケアラーへの対応に関しまして、「なごもっか」の認識と対応についてお尋ねをいただきました。 ヤングケアラーについては、子供が自分の抱えている問題を認識していなかったり、たとえ認識していても、自ら声を上げ、誰かに相談できることを知らなかったりする状況にあることが、問題を表面化しにくくしていると考えております。 なごや子どもの権利条例では、子供にとって大切な権利として、学ぶこと、遊ぶこと、休息することや自分の考えを自由に持ち表現すること等を掲げております。子どもの権利相談室「なごもっか」としては、こうした子供の権利について、ヤングケアラーも含め、子供自身がしっかりと理解できるような周知を図っていく必要があると考えております。 今後、市内の小中学生、高校生に配布している機関紙のトピックスとしての紹介やSNSを活用した情報発信等により、子供が自らの権利についてしっかり認識できるよう取組を進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◎健康福祉局長(山田俊彦君) 健康福祉局には、ヤングケアラーへの対応に関し、福祉サービスの関わり方に対する認識と支援についてお尋ねをいただきました。 ヤングケアラーを含めた介護を担う御家族に対し、介護サービスや障害福祉サービスの利用により負担軽減を図ることは、非常に重要であると認識をしております。介護を担う御家族が、その悩みを相談し、適切なサービスを御利用いただけるよう、高齢者や障害者の相談窓口でございますいきいき支援センターや障害者基幹相談支援センターなどにおいて相談に応じているところでございます。 ヤングケアラーが担う御家族の介護について、これらの相談支援機関が関わり、御家族が適切なサービスを利用することで、介護の負担が軽減され、学業に専念できる時間や友人と過ごす時間を増やすことができるものと考えております。 健康福祉局といたしましては、教育委員会や子ども青少年局の関係機関から情報提供があった際には、必要な方に対して介護サービスや障害福祉サービスが届くようにしてまいりたいと考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。 以上でございます。 ◆(さかい大輔君) それぞれ御答弁をいただきました。ありがとうございます。 意見と要望を述べる前に、先週11月25日に、埼玉県が独自に行ったヤングケアラーの実態調査の結果が発表されておりますので、参考として御紹介をさせていただきたいと思います。 これは、県内の国立・公立・私立高校の2年生5万5772人に対し学校を通じてアンケート調査を行った結果、現在もしくはかつてヤングケアラーであるという生徒が1,969人おり、埼玉県では1クラスに1人いるに該当するそうでございます。これは2年生だけの数字でございますけれども。ヤングケアラーの約2割の生徒が、ケアについて話せる人がいなくて孤独を感じるや、ストレスを感じていると回答、また、約1割が、勉強の時間が十分に取れないと回答しており、日常生活への影響が見てとれると思います。必要とする支援については、困ったときに相談できる大人や相談できる場所が16.0%、信頼して見守っている大人がいることが14.5%、学校で宿題や勉強をサポートしてくれることが13.2%という結果になっており、相談や見守り、学びの支援など、多様なサポートを必要としていることが明らかになりました。 詳細は埼玉県のホームページに公開されていますので、この機会にぜひ御覧になっていただきたいというふうに思います。 さて、質問に対して、教育長からは、子ども応援委員会と共に、学習面のフォローや心のケアなど学校でできる支援の検討や関係機関への連携、子ども青少年局長からは、子供が自らの権利についてしっかり認識できるような情報発信の取組、健康福祉局長からは、学業に専念できる時間や友人と過ごす時間を増やすため、介護・障害福祉サービスを届けるとの御答弁でございました。ぜひ各局とも、積極的そして主体的にヤングケアラーに対して関わっていただきたいと思っております。また、複雑多岐にわたる事情に対して、他局間の連携も必要になると思います。各局の連携強化も積極的に取り組んでいただきたい。 前段の質問で今後行われる全国的なヤングケアラー実態調査の件についても触れましたが、今まで見えづらかったヤングケアラーにようやく光が当てられようとしております。調査結果が出た暁には、日本一子供を応援するまち名古屋として、日本一早く手を打っていただきたい。名古屋の宝である子供たちのために、各局ぜひ一枚岩となって対応していただきたいと思います。旗振り役はどの局なのかなどの議論で一々手間取らぬよう、準備を進めておいていただきたいと思います。 ヤングケアラーを見つけ、介護サービスや家事支援サービスを届けることができれば、それでよしといったような簡単なものでは決してありません。家族全員をケアするソーシャルワーカーのような、継続的に寄り添う支援も不可欠です。また、ヤングケアラー同士がコミュニケーションできるような場も必要だと思います。何より、孤独にさいなまれ、諦めや絶望の中、それでも必死に登校し、学校では笑顔をつくっている子供たちをこれ以上増やしてはいけません。ヤングケアラーのように自分の意思を十分に表現できない子供たちの権利を徹底して守る全庁的な体制の構築を強く要望させていただきます。そして、国のヤングケアラー実態調査が本市全体の実態を把握するのに不十分とあれば、速やかに本市独自のヤングケアラー実態調査も実施していただくことも重ねて要望させていただきます。 私ども公明党名古屋市会議員団といたしましては、ヤングケアラーが決して誰一人取り残されることなく希望の人生を見いだすことができるよう、今後もヤングケアラーへの対応についてはしっかり取り組んでまいることを決意させていただき、私の全ての質問を終わります。(拍手) ◆(吉田茂君) この場合、暫時休憩されんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」〕 ○副議長(山田昌弘君) ただいまの吉田茂君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」〕 ○副議長(山田昌弘君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。          午後0時18分休憩          ----------          午後1時22分再開 ○議長(中里高之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 第130号議案はじめ16件を一括議題とし、質疑並びに質問を続行いたします。 次に、中田ちづこ君にお許しいたします。    〔中田ちづこ君登壇〕 ◆(中田ちづこ君) お許しをいただきましたので、最初に、堀留水処理センター周辺地域の環境改善と魅力向上に向けた上下水道局の取組について質問いたします。 堀留水処理センターが位置する新堀川上流部では、悪臭が発生している状況の中、新堀川の水質浄化が極めて重要な課題となっており、これまでに、緑政土木局によるヘドロ除去や上下水道局による合流式下水道の改善などが実施されていますが、この地域の環境は改善には至っておりません。 私は、ヘドロ除去など改善策ごとに説明会を開催いたしましたが、新堀川沿いにお住まいの方々からは、雨の日に堀留水処理センターで処理できなかった下水からの汚物の新堀川への放流による悪臭と川の汚れに対し、不満と怒りの声を何度もお聞きしてきました。新堀川沿いにお住まいの方々からは、今でも悪臭に関する様々な声が寄せられています。私もそのような声をお聞きするたびに、大変心苦しくなるとともに、何とかしなければならないと思い悩んでおりました。 そのような中、昨年10月に堀留水処理センターの上部空間の活用を図る方針が示され、その後、上下水道局を事務局として、関係局による庁内プロジェクト協議会にて検討が進められていると聞いております。堀留水処理センターの上部空間活用を図ることは、この地域の魅力向上につながる取組であると思いますが、その一方、周辺地域の悪臭の現状を重く受け止め、まず、第一に、この地域の環境改善に取り組むべきであります。この地域の環境改善なしに、この地域を魅力あるまちにしていくことはできないのです。 そこで、上下水道局長にお尋ねいたします。堀留水処理センターの周辺地域の環境改善に向けての上下水道局としての取組についてお伺いをいたします。 次に、中区におきましては、長年、カラスによるごみの被害に苦しんでおります。カラスは大変頭がよく、可燃ごみ袋から生ごみを取り出すだけでなく、どこに生ごみがあるかなど経験を重ねて覚えていき、被害を拡大させていきます。近年では、家庭から出された可燃ごみがカラスに荒らされる被害も増加しており、ごみ置場の設置が義務づけられる以前に建てられた共同住宅など、防止策を講じていないところは被害が甚大です。 また、繁華街では、遠方からも勝手にごみが持ち込まれ、ごみの出し方や集積場の管理だけでは対応できておりません。環境局では排出指導も行っておりますが、指導に当たる条例も制定されていないため指導にも限界があり、抜本的な解決には至っていない状況です。 カラス被害については、名古屋市に限らず他都市でも同様に対応に苦慮しているようです。千葉県市川市では、カラス被害の防止等に関する条例を制定し、ごみ対策や餌やりの防止などの生息環境対策を行っています。その対策の一つとして、市民、事業者に対して、ごみの適正な排出を求めています。 去る11月9日、栄学区区政協力委員長と大須学区区政協力委員長とで環境局長へ要望書を提出しております。内容は、カラス被害防止対策を義務づける条例を制定することとカラスの被害対策をすることです。 このように、名古屋市もカラスによるごみ被害防止対策を義務づける条例を制定する必要があります。条例制定について、環境局長に見解をお伺いいたします。 また、具体的な対策として、京都市では、ボックス型のネットを家庭用や共同住宅のごみ集積場所に無償で貸与するモニター調査を開始しています。行政、市民、事業者が一体となってカラス被害を防止していくためにも、名古屋市でも同様の取組を行うことを提案いたします。この提案について、環境局長にお伺いをいたします。 これで、私の第1回目の質問といたします。(拍手) ◎上下水道局長(飯田貢君) 上下水道局には、堀留水処理センター周辺地域の環境改善と魅力向上に向けた取組につきましてお尋ねをいただきました。 堀留水処理センターでは、下水処理を行う上で発生する臭気対策として、発生源となる全ての施設を覆うとともに、発生する臭気を集めて脱臭設備で取り除くなど、施設周辺の環境保全に努めているところでございます。 また、本地域は、合流式下水道で整備しており、雨天時に未処理の下水が新堀川へ放流されることがあるため、堀留水処理センター内の簡易処理高度化施設の設置など、当局としても、これまでに合流式下水道の改善対策を実施してまいったところでございますが、議員御指摘のとおり、引き続き改善が必要な状況にあるものと認識をしております。 当局といたしましては、都心部のまちづくりに貢献するため、新堀川上流部におけるさらなる水質浄化策として、来年度、雨水幹線等の設計に着手し、効果的な対策となるように積極的に進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ◎環境局長(勝間実君) 環境局には、カラスによるごみ被害対策についてお尋ねをいただきました。 本市では、カラスがごみを荒らすことを防ぐ対策として、生ごみを新聞紙などで包んで排出することや防鳥ネットで隙間なくごみ袋を覆うなどの対策を実施していただくようお願いをしているところでございます。しかしながら、対策が徹底していただけなかったり、徹底していたとしてもカラスに荒らされてしまうなど、いまだに被害がなくならず、本市でも対応に苦慮しているのが現状でございます。 カラスによるごみの散乱被害の実態については不明な点も多いことから、有効な対策を検討するために、まずは詳細な被害の発生状況の調査を行ってまいります。 議員お尋ねのカラス被害の防止等に関する条例につきましては、市川市に確認したところ、各家庭や事業者に対策を義務づけることにより、排出指導が徹底できるなど一定の効果があると聞いておりますので、引き続き調査・検討してまいります。 また、京都市で実施されているボックス型のネットの無償貸与については、カラスによるごみの散乱被害に対して即効性のある対策の一つとなり得るため、その効果や収集作業への影響、管理上の課題などを調査するモデル事業を来年度実施してまいります。 以上でございます。 ◆(中田ちづこ君) 上下水道局長から御答弁をいただきましたように、新堀川上流部の水質浄化策として、来年度、雨水幹線等の設計に着手し、効果的な対策となるように積極的に進めてください。 また、本市では、リニア中央新幹線の開業を控え、堀留水処理センターが隣接する栄地区においても、久屋大通公園の再整備や民間ビルの再開発の計画などがスピード感を持って進められており、今後、当地区のにぎわい・活気はさらに高まっていくものと期待されます。 このような状況の中で、より都心部にふさわしい空間にしていくために、将来的に処理場をどうしていくかについて、その方向性については決めるべきであります。 私は、周辺地域の環境改善と魅力向上の観点から、堀留水処理センターを将来的に廃止することが望ましいと考えております。もちろん、処理場を廃止することは、技術的にも運用面の面からも簡単なことではないと思いますが、この地域の現状を鑑みれば、廃止について検討をする必要があります。 そこで、再度、上下水道局長にお尋ねいたします。都心部のまちづくりが進む中で、将来的な堀留水処理センターの廃止について検討する必要がありますが、御答弁ください。 ◎上下水道局長(飯田貢君) 上下水道局に堀留水処理センターの将来的な方向性につきまして、再度のお尋ねをいただきました。 当局といたしましても、議員御指摘のとおり、上部空間の活用方法を考える上で、将来的に堀留水処理センターをどうしていくのか、その方向性を決めていく必要があると認識をしており、現在、検討を進めているところでございます。 堀留水処理センターは、栄に近い都心部に位置しておりますことから、周辺においてまちづくりが進んでいる状況の中、都心部にふさわしい空間づくりを目指す上での水処理センターの在り方について、いま一度考える必要があることも認識をしております。 今後、本市におきましても人口減少への転換期を迎える中、堀留水処理センターにつきましては、今後の都心部のまちづくりと連携した水処理センターの在り方として、廃止も含めた検討をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(中里高之君) 次に、うえぞの晋介君にお許しいたします。    〔うえぞの晋介君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◆(うえぞの晋介君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大規模自然災害に対する本市の取組について、まずは防災危機管理局長に順次質問をさせていただきます。 近年、全国各地では、毎年のように大規模な自然災害が発生しております。 本市を含めたこの地域では、平成12年の東海豪雨以降、大規模な自然災害は幸いにも発生はしておりませんが、南海トラフ巨大地震が30年以内に70%から80%の確率でいつ発生してもおかしくない状況であると言われており、さらには、大規模風水害もいつ起きてもおかしくない状況であります。 名古屋市を含む中部地域においては、物づくり企業が集積しており、我が国の産業、経済を牽引しています。ところが、本市南西部は、国内最大のゼロメートル地帯に含まれており、洪水や高潮による浸水被害とともに、津波や液状化の被害が懸念されております。 これまでも、本市は、河川改修や上下水道の耐震化などのインフラ整備等を進めているところではありますが、大規模自然災害が発生した場合、行政職員はもとより、市民も日頃からの備えや適切な避難行動が何よりも重要となります。これらのことは、企業活動を行う事業者も同様であり、家族も含めた従業員の命を守ることはもとより、顧客や従業員を災害から守り、できる限り事業活動を継続、または早期の再開をし、雇用の確保や物資供給体制の確立など、社会経済の安定を図ることが求められております。よって、事業者が企業活動をいち早く再開するためには、BCPと言われる事業継続計画の策定や従業員を守る対策の準備が必須となっております。 現在、見直しを行っておられます名古屋市地域強靱化計画では、人材育成や防災教育等を新たに柱の一つに捉えていると認識しております。私も、これからの災害対応では、災害に強い市民、災害に備える人づくりが大変重要になってくると考えております。行政職員だけでなく、地域、企業など様々な立場の方へアプローチ、そしてサポートにより、防災人材をしっかりと育てていくことがさらに重要になると考えます。 そこで、防災危機管理局長にお尋ねをいたします。本市として、今後、行政職員はもちろん、地域住民や民間企業に対する防災人材の育成にどのように取り組むのか、答弁を求めます。 次に、災害記憶を風化させない取組についてお尋ねをいたします。 大規模自然災害が発生した際に被害を最小限に抑えるためには、当時の教訓を次世代に確実に伝承していくことがとても必要になると考えます。近年では、50年に一度、100年に一度発生するような大規模な豪雨災害が全国各地で頻発しております。防災・減災対策は、ハード対策、そしてソフト対策ともに強化されているにもかかわらず、それでもなお、災害による犠牲者が発生をしてしまう一つの要因として、災害の教訓が伝承されていないことも挙げられるのではないかと考えます。 例えば、東日本大震災時のアンケート調査では、東日本大震災以前の地震や津波の体験や当時の教訓を知らなかった人は4割強であったとの結果もあります。大規模災害が発生した際に、被害を最小限に抑え、一人でも多くの命を守るため、そして、過去に起きた災害と同様の悲劇を繰り返さないためには、当時の教訓を次世代に確実に伝承していくことが必要であると考えます。 昨年度で伊勢湾台風から60年、今年度で東海豪雨から20年目の節目を迎え、様々な場所で展示や啓発を実施してきましたが、本市で主となるその役割を担うのは、やはり港防災センターであります。今年の夏、私は港防災センターを訪れ、伊勢湾台風の常設展示と、東海豪雨から20年の企画展を見学いたしました。その内容は非常に勉強にもなりましたが、過去に本市で発生した代表的な大規模自然災害の啓発としては、残念ですが物足りなさを感じておりました。今後、時間の経過とともに、被災経験をした方々の高齢化も進み、災害記憶の風化がより一層進んでしまうのではないかと懸念をいたします。 伊勢湾台風は、我が国日本の災害対策の基本法令となる災害対策基本法の創設の契機となり、本市のまちづくりの基礎となるような歴史的な大規模災害でもありました。 そこで、防災危機管理局長にお尋ねをいたします。港防災センターにおいて、当地域を襲った伊勢湾台風などの災害の記録をより充実させ、過去の教訓を基に、より効果的な広報啓発を図り、災害記憶が風化することのないようしっかりと伝承していくべきと考えますが、防災危機管理局長の答弁を求めます。 次に、東日本大震災から10年を契機とした市民の防災意識を高める取組についてお尋ねをいたします。 私は、この10月に陸前高田市を訪問する機会をいただき、東日本大震災津波伝承館や災害遺構である下宿定住促進住宅等を視察させていただきました。視察では、改めて津波被害の悲惨さや震災の教訓などについて、写真や動画・映像、被災した消防車などを交え、効果的に展示がされておりました。9年8か月たった今でも--私自身は当時この名古屋にいたわけではありますが--発災直後のテレビ等で報道された当時の映像などが私自身の心の中でフラッシュバックし、改めて、南海トラフ巨大地震を含めた大規模自然災害に備える対策に、より取り組む決意を新たにいたしました。だからこそ、港防災センターでの展示を含めた名古屋市民への防災意識を高める取組について、こちらも物足りなさを感じてしまいました。 本市の市民の方々に、東日本大震災津波伝承館等に足を運んでもらい、震災をリアルに感じてもらい、市民の防災意識を高めてもらいたいと思いますが、現実的には非常に難しいと考えます。 そこで、港防災センターの機能強化の一環として、例えば、東日本大震災津波伝承館と連携をした、南海トラフ巨大地震に備えるためのサテライト的な常設展示を設けるなど、市民の防災意識の向上に役立ててはどうかと考えます。また、東日本大震災から10年目の節目である今年度中に、より多くの会場で、より多くの市民の目に触れる形で東日本大震災の教訓を伝える取組をさらに開催してはどうかと考えますが、併せて防災危機管理局長に答弁を求めます。 次に、日本一の救急を支える救急活動支援システムの構築について、消防長にお尋ねいたします。 まずは、新型コロナウイルス感染症の第3波が到来する中、懸命な努力と献身により医療体制を支える医療関係者の方々に、改めて敬意を表します。各医療機関においては、院内感染が絶対に発生しないよう取組が進められていると思われるため、最前線で救急車の受入れ要請を受ける場合でも、細心の注意が払われ、受入れ要請が承諾されて搬送が開始されるまでに時間を要することが考えられます。特に、脳卒中や心筋梗塞など命に関わるような重篤な病気では、病院にいち早く搬送され治療を受けることが、患者さんの命を救うために非常に重要であります。 本市では、救急車を受け入れる医療関係者の御理解や救急隊、消防隊の努力によって、救急車の119番通報から医療機関に収容するまでの時間を短くし、令和元年中は31.1分と、いわゆる日本一の救急を実現することができました。最近では、救急隊が現場に持参する酸素ボンベという資機材の軽量化にも取り組み、効果を上げていると聞いております。 一方で、コロナ禍においては、こうした時間が再び長くなってしまうことが懸念されます。私たちは、今般のコロナ禍の中で、今後はあらゆる局面で、未知の感染症への流行に備えておく必要性を改めて感じております。救急車を必要としたときに、いち早く医療機関に搬送され、大切な人の命を守ることができるこの本市の体制は、何としても継続していかなければならず、本市の日本一の救急は、新たな試練を迎えていると言っても過言ではありません。 そこで、救急隊の方に話を聞きますと、医療機関に向けて出発するためには、患者さんの症状とともに、かかりつけの病院や持病、ふだん飲んでいる薬について、本人や御家族から情報収集を行い、必ず医師に説明をし、搬送開始の許可をもらう必要があると聞いております。しかしながら、急病に陥り苦しい患者さん御本人や不安な気持ちでいる御家族にとっては、救急隊員からいろいろと質問されて答えるのには負担が伴うことや、質問はいいから早く病院に向かってほしいと言われる方もお見えになるとお聞きいたしました。少なくとも、過去に救急車で運ばれたことのある人は、前に全部話したじゃないかと思うかもしれません。もし、こうした情報収集に関して、消防局に蓄積した情報を有効に活用し、過去に救急車で医療機関に搬送された方の搬送履歴などをいち早く救急隊が把握することができるような仕組みさえあれば、患者さんや御家族の負担が軽減されるとともに、救急活動も効率化が図られ、現場での活動時間の短縮も期待できるのではないかと考えます。 そこで、消防長にお尋ねいたします。本市は、令和7年度に、指令センターのシステム更新及び近隣の消防本部と指令業務の共同運用を計画しているところであります。こうしたシステム更新の機会に合わせて、救急隊の情報収集を支援し、現場活動の効率化につながる可能性のある、言わば日本一の救急を支える救急活動支援システムを構築していく考えはないか、消防長に答弁を求めます。 これで、私の第1回目の質問を終わります。(拍手) ◎防災危機管理局長(渡邊正則君) 防災危機管理局に対しまして、大規模自然災害に対する本市の取組について、3点お尋ねいただきました。 1点目の地域強靱化を推進するための人材育成の取組についてでございます。 本市の地域強靱化計画につきましては、12月中の改定を目指し、現在、市民意見を募集しているところですが、議員御指摘のとおり、今回新たに人材育成・防災教育を一つの大きな柱に位置づけているところでございます。 計画見直しの過程におきまして、本市が弱いとされている脆弱性として評価されたものといたしましては、地域における実践的な行動力を習得した指導者・リーダー等の育成、消防団の充実強化、ボランティア活動の支援体制の整備、民間企業等の内部でのBCPの担い手の育成、行政における災害対応業務を円滑に処理できる職員の育成などが挙げられました。これまでも地域住民や企業に対する人材育成等は行ってきておりますが、地域強靱化計画で改めてその重要性を認識したこともあり、今後は、市民、NPO、企業、職員など全てを対象とした人材育成を市として積極的に進めてまいりたいと考えております。 今後、育成する対象を整理した上で、対象ごとに目指すべき姿や役割分担などを明確に定める防災人材育成方針を策定するとともに、具体的な防災人材育成事業を計画的、体系的、戦略的に推進してまいりたいと存じます。 次に、災害記憶の風化防止についてでございます。 過去の災害から得られた教訓を次世代へ引き継ぐことは、一人一人の防災意識を高め、いざというときの適切な行動につながるものであると認識しております。 港防災センターは、防災に関する知識の普及及び市民の防災意識の高揚を図るために設置された施設であり、現在では、次世代を担う子供たちに向けた効果的な防災教育を基本方針の一つとして位置づけ、管理運営を行っております。 昨年度は、伊勢湾台風から60年の節目であったことから、伊勢湾台風に係る展示物や疑似体験できる3D映像をリニューアルいたしました。また、今年度は東海豪雨から20年であることから、企画展を開催し、過去の災害についての啓発を実施しているところでございます。 議員御提案のとおり、災害の記録をより充実させるため、節目の年にとらわれることなく、より多くの企画展を開催するとともに、伊勢湾台風をはじめとする常設展示のさらなる充実を図るほか、港防災センターに足を運ばなくても過去の災害を学ぶことができるインターネット展示室を開設するなどの検討を進めてまいりたいと存じます。 最後に、市民の防災意識を高める取組についてでございます。 本市における震災からの教訓を踏まえたこれまでの啓発の取組といたしましては、集客施設等においてパネル展示を実施したほか、被災地へ派遣経験のある職員を講師とした市民向け報告会を各区における防災訓練等の機会において実施するなど、市民の防災意識の向上に努めてきたところでございます。 来年3月11日に東日本大震災から丸10年を迎えるに当たりまして、今後、シンポジウムの開催や港防災センターでの企画展を予定しておりますが、加えて、各区役所の情報コーナーでの巡回パネル展示など、震災の教訓を伝えるさらなる取組を早急に検討、実施してまいりたいとも存じます。 議員御提案の東日本大震災津波伝承館と連携した取組につきましても、伝承館が所有するコンテンツの本市でのサテライト展示のほか、伝承館職員による展示解説を港防災センターで視聴するオンライン授業など、震災10年を契機とした新たな啓発の取組の実現に向けて、伝承館を所管、運営する国・岩手県と調整してまいりたいと存じます。 ◎消防長(小出豊明君) 消防局には、日本一の救急を支える救急活動支援システムの構築につきましてお尋ねをいただきました。 救急隊の活動におきましては、傷病者の方に医療機関において最適の初期治療を受けていただくため、傷病者御自身のかかりつけ医療機関や持病、内服薬等の情報収集を行い、搬送先医療機関にお伝えすることが大変重要であり、傷病者御自身や御家族から効率的に情報収集を行うための救急隊員の連携につきまして、平素から訓練を積み重ねているところでございます。 一方で、実際の救急現場におきましては、情報収集だけでなく、傷病者の方の観察や症状に応じた応急処置が必要となるなど、個々のケースに合わせたきめ細やかな対応と、一刻も早い医療機関への搬送に向けた効率的な救急活動による時間短縮の双方を両立していかなければなりません。 本市におきましては、救急現場で対応した傷病者の方々のうち、おおむね1年以内に複数回の救急搬送履歴がある方は約2割に上っております。そのため、救急活動を支援するシステムの構築は、指令センターに蓄積した傷病者の方の情報をいち早く救急隊に提供することを可能とし、現状活動での効率化に資するもので、医療機関収容までの一層の時間短縮に有効であると考えられます。さらには、救急隊の情報収集に際する傷病者御本人や御家族等の関係者の方々の負担の軽減にもつながるものと考えられます。 現在、消防局では、令和7年度の運用開始を目指し、指令センターのシステムの更新及び共同運用につきまして鋭意準備を進めているところでございまして、議員御提案の救急活動を支援するシステムの構築につきましても、その中でしっかりと検討を進めてまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。 以上でございます。 ◆(うえぞの晋介君) それぞれ御答弁をいただきました。 要望を述べて終わらせていただきます。 まず、消防局に対しては、令和7年度運用開始を目指す指令センターのシステム更新に際して、救急現場、また活動を支援する取組をぜひ実現していただきたいと思います。 救急搬送履歴を取り扱うことへの細心の注意を図りながら、まだまだ終息する兆しがない新型コロナウイルス感染症や、また今後発生する可能性のある新たな感染症への対応を考えたときに、こういった医療機関への搬送に対する工夫をぜひ今後も検討していただき、市民の命を守るための取組を継続してお願いしたいと要望します。 次に、防災危機管理局に対し要望し、終わらせていただきます。 地域強靱化を推進するための人材育成については、防災危機管理局がさらなるリーダーシップを取り、しっかりと予算をかけて全庁的に取り組んでいただくことを要望したいと思います。人材育成・防災教育においては、きめ細かく、そして、しっかりとしたサポートを行っていただき、今後の防災人材育成こそが災害に強いまちづくりの重要なテーマでもあると私は考えておりますので、今後、方針の策定、そして計画をしっかりと見守っていきたいと考えます。 また、災害記憶の風化防止について前向きな答弁をいただきましてありがとうございます。災害の記録を通じて得られた教訓をしっかりと次世代へ引き継ぐことこそ、伝承の重要性を、改めて、東日本大震災、陸前高田市へ行って身に感じました。伊勢湾台風をはじめとする常設展示のさらなる充実も図っていただくこと、そして、過去の災害を学ぶことができるインターネット展示室の開設の検討など、本当にありがたいと思います。これからは、貴重な災害記録の保管についてもしっかりと取り組んでいただくことを要望します。 最後に、防災意識を高める取組についてであります。 来年3月11日に東日本大震災から丸10年を迎えるに当たって、今後、シンポジウムの開催、また港防災センターでの企画展に加えて、各区役所での巡回パネルの展示など、震災の教訓を伝えるさらなる取組を早急に検討、実施していくことに感謝を申し上げたいと思います。感染症対策は言うまでもなくしっかりと実施していただき、市民の方が安心してそういったものを見学できるような取組についてもお願いしたいと思います。 また、東日本大震災津波伝承館と連携した新たな啓発の取組の実現に向けてしっかりと準備をしていただき、市民の防災意識を高める取組を実現していただくことを強く要望し、全ての質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山田昌弘君) 次に、中川あつし君にお許しいたします。    〔中川あつし君登壇〕 ◆(中川あつし君) 議長にお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 なお、被災者の生活支援について、(2)浸水被害時の衛生対策については割愛をさせていただきます。 それでは、災害時におけるペット対策についてお尋ねをいたします。 近年、異常気象により、豪雨や台風の規模が大きくなる傾向が見られます。今年は、2000年9月11日から12日にかけて降った大雨によりこの地方に甚大な被害をもたらした東海豪雨から、節目の20年目に当たります。 当時、私は実家のある清須市に居住しており、旧清洲町は、五条川の氾濫がなく、被害を受けることはありませんでした。しかし、同じ清須市旧西枇杷島町下小田井や本市西区上小田井・中小田井地区などは、庄内川の堤防の決壊により、周辺一帯が床上浸水し、私の友人や知人の会社、自宅などが多く被害を受け、氾濫した川の水が1週間以上も引かず、復旧に時間を要したことを記憶しております。後に、国による激甚災害指定を受ける水害でした。 一昨年の2018年7月の西日本豪雨、2019年8月の九州北部豪雨、9月には15号・19号台風、今年に入って7月豪雨で熊本を中心とした九州地方、中部地方の長野県や岐阜県下呂市など、近年は、台風や異常気象による豪雨の影響で死者も出ており、多くの被災者が出ました。改めて、お亡くなりになられた方、御家族の皆様方にお悔やみを申し上げます。また、復旧さなか、避難生活を余儀なくされておられる方々にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早く日常を取り戻していただけるよう願うばかりでございます。 いつ起こるとも、いつ自分の身に降りかかるとも分からないのが自然災害です。阪神大震災、東海豪雨、東日本大震災、西日本豪雨など、私たちの記憶と生活に爪痕を残す自然災害に、行政をはじめ、住民、自治会など、共同で防災・水害・避難訓練、啓発など、全国的に取り組まれております。 本市も、毎年5月に総合水防訓練、9月には総合防災訓練を、各区役所を中心に、災害対策委員や地域の皆さん、施設管理者の協力の下、管理運営など日頃の備えをしております。今年はコロナ禍で防災・水防訓練などが中止になったことは残念であります。 避難所では、原則、市立小中学校が指定されており、指定避難所運営マニュアルに沿って運営されており、市民にはナゴヤ避難ガイドやハザードマップなどが配布され、お住まいの避難所の周知にも取り組んでいただいております。 本市は、海抜ゼロメートル地域もあり、私の居住する中川区は、庄内川、新川など大小の河川があり、近隣の港区、南区も水害に対する不安をいつも抱えております。近年では、水害の際に、緊急避難場所に指定されたマンションやアパートなど建物の3階以上に避難する垂直避難が推奨されるなど、避難行動も年々見直され、よりよい避難行動、避難所運営へと改善されているところであります。 平成9年に策定された本市指定避難所運営マニュアルは、今まで4度改正されており、現在、平成30年1月改正版が示されております。その中に、「ペットとの同行避難への対応」とあります。平成24年2月定例会において、我が会派の鈴木孝之議員が質問をさせていただいておりますので、私からも質問をさせていただきます。 まず、ペット同行避難とペット同伴避難の違いを述べますと、ペットと一緒に避難所に避難することができるのが同行避難。この場合、人とペットのエリアを分けていることが多いようです。本市は、ペット同行避難を平成25年2月より原則可能としております。もう一つは、ペットと一緒に避難所へ避難し、同じ場所で待機することができる同伴避難です。 他都市の状況を見ると、東京都23区では、16区で同行避難が可能となっており、政令指定都市では、調べのついた範囲の10都市が可能でした。横浜市や京都市も、本市と同様、避難訓練でペット同行避難を実施しているようです。 本市の状況は、16区内、原則、市立小中学校の全避難所でペット同行避難を可能としております。今年はコロナ禍で避難訓練が中止となっておりますので、昨年度実績で見ると、16区中、ペット避難者の受付を設け訓練を実施した区が12区、また、実際のペットやぬいぐるみをペットに模して同行訓練を実施した区は9区実施され、全ての区の避難訓練では実施されていないようです。ペット同行避難の訓練を実施した9区であっても、全避難所においてペット同行避難が可能というわけではないようです。 飼い主とペットの在り方は、以前とは随分異なっているようです。例えば、以前は番犬として庭や玄関先で犬を飼ったケースが多く見られましたが、近年は犬を飼っている方の6割以上は室内で犬を飼う傾向との民間の調べもございます。お子さんがいる家庭では、ペット--生き物を飼育することから、命の尊さや子供の成長過程の心の学びなど教育の観点、子育てから手の離れた夫婦などはペットを我が子のように飼うなど、飼育環境や気持ち、心の結びつきが強くなり、多様化しているようです。 また、被災者、この場合、飼い主への精神的ケアの観点からも必要不可欠な存在でありますが、地域ごとに事情も異なり、課題はまだまだ多いようです。 そして、同行避難する動物は、犬猫ばかりとは限りませんが、割合の多い犬猫の場合、本市指定避難所運営マニュアルでは、ペットの避難場所の一例として、自転車置場、軒下、テントなど、雨風をしのげ、飼い主によるペットの管理ができる場所とあります。飼い主の管理はそのとおりですが、犬も室内飼育と室外飼育に分けられ、民間調査では、現在、小型・中型犬は8割以上が室内飼育で、人間と同じ居室で飼育されている犬が野外避難では、環境的に難しいと思います。猫を屋外でリードなどを用いて固定し飼育することや、ケージに入れたまま、夏の炎天下、あるいは冬の寒い屋外で管理することも難しいと思います。 指定避難所運営マニュアルには、あらかじめ定めた場所でペットの管理が難しいと代表管理者が判断した場合は、別の場所を選ぶとありますが、あらかじめ、夏であれば風通しのよい、冬であれば日当たりのよい屋内の管理場所を選定し、飼い主に管理してもらえばよいのではないでしょうか。 そこで、健康福祉局長にお尋ねをいたします。ペット同行避難について、これまでどのような取組をされ、市民にどの程度周知されたと認識しておられますか。避難所において、同行避難したペットを屋内で飼育管理することはできないでしょうか。指定避難所運営マニュアルに記載されたペットとの同行避難への対応について、市民に分かりやすい周知をするお考えはありませんか。 引き続き、災害という観点で別角度からお尋ねをいたします。 今年9月4日、名古屋市内において局地的ゲリラ豪雨がありました。その一例として、中川区あおなみ線中島駅が所在する1号線と交わる交差点の一帯は、すり鉢状に低くなっているため、足のすねまで水位が上がりました。この辺りの雨量は、中川土木事務所の屋根雨量計調べで1時間毎87ミリを記録しており、ほかにも名古屋市内で至るところで、道路冠水、床下・床上浸水被害の報告がありました。 本市には、こういった災害時に市災害見舞金制度というものがあります。これは、昭和45年9月1日施行の要綱により、風水害、地震、火災、その他これらに類する災害により被災した市民に対し、見舞金・弔慰金を贈呈するものとあります。 災害見舞金に関しては、平成20年9月までに数回の見直しがされております。しかしながら、災害弔慰金に関しては、10万円と額が示された昭和49年以降、46年が経過し、物価や貨幣価値もかなり上昇した現在でも10万円のまま変更もなく、見直しすらないとのことです。 この制度について、他都市、政令都市の金額や制度を調べてみると、死亡の際の弔慰金は、さいたま市、札幌市、大阪市、神戸市、福岡市など、おおむね本市と同じ10万円でした。本市より高く設定している千葉市では、自然災害の場合、生計維持者は100万円、そのほかは50万円、広島市は、自然災害では50万円と、10万円をはるかに上回る金額を設定しておりました。 例えば、物価比較では、日本銀行公表の企業物価指数と消費者物価指数で昭和40年と令和元年を比較してみると、企業物価指数で2.1倍、消費者物価指数では4.2倍となっております。また、厚生労働省が公表する賃金構造基本統計調査を参考に民間がまとめたデータでは、大学初任給に示す額が、昭和51年当時9万4000円だったものが、令和元年では21万2800円で、2.26倍にもなっております。 このことから、昭和49年当時に設定した弔慰金10万円が、現在の社会に照らし合わせて妥当な額とは思えません。 本市は、伊勢湾台風、東海豪雨など日本中の皆さんが知るような大規模水害を経験し、30年以内に南海トラフ地震が起きる可能性が高いと予測される地域です。その本市の災害弔慰金の額が、今のまま、46年間見直しをされないままでよいのでしょうか。市民の思いや立場に立って弔慰金の額や制度を見直しするお考えはないか、こちらも健康福祉局長さんにお尋ねをして、私の第1回目の質問を終わります。(拍手) ◎健康福祉局長(山田俊彦君) 健康福祉局に、災害時におけるペット対策及び被災者の生活支援についてお尋ねをいただきました。 最初に、災害時におけるペット対策についてでございます。 まず、これまでの取組と市民の認識についてでございますが、お尋ねのございましたペットとの同行避難の取組につきましては、これまでに14区において同行避難訓練を実施するとともに、ペットの災害対策に関する啓発用リーフレット等を活用し、保健センター窓口や各区の防災訓練等の機会に周知啓発を実施してきたところでございます。 市民への認知度につきましては、本市が平成30年度に実施をした市政アンケートでは、ペットとの同行避難について、45.3%の市民が、知っていた、または聞いたことがあると回答をしております。 次に、同行避難したペットの屋内飼育についてでございます。 避難所におけるペットの屋内飼育につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、人の避難スペースの確保も課題となっており、地域住民や施設管理者等の理解を得ていくという観点からも、現時点では実現できないものと考えております。 次に、分かりやすい周知啓発の実施についてでございます。 指定避難所運営マニュアルに記載されておりますペットとの同行避難への対応につきましては、その内容をより詳細に記載したガイドラインやリーフレットを用いた啓発を現在実施しているところでございます。今後も、地域住民や施設管理者等をはじめ、住民同士の理解が促進されるよう、各種防災訓練等において周知啓発をこれまでどおり続けてまいります。 続きまして、被災者の生活支援について、災害弔慰金についてでございます。 弔慰金は、死者を弔い遺族を慰めるため支給するものでございまして、本市では、昭和49年以降、弔慰金の額を10万円としております。 議員の御質問にございましたこの間の物価に関しましては、総務省統計局が作成をしている物価の変動を測定する消費者物価指数が、令和元年平均で昭和49年平均の約2倍になっております。しかしながら、弔慰金は人の命に関わる事柄でございまして、物との比較はできないと考えております。 また、市災害弔慰金の支給等に関する条例に基づく弔慰金の制度が別にございまして、死亡時には最大で500万円の支給をいたします。 加えて、本市と同様に市独自の災害弔慰金を有している政令指定都市のうち14市が、弔慰金において本市と同額の10万円、またはそれ以下の額となっているところでございますので、現在のところは、弔慰金の額等の見直しを行う考えはございませんが、他都市の状況等について情報収集に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ◆(中川あつし君) それぞれ御答弁ありがとうございました。 まず、同行避難について。 来年は東日本大震災から10年の節目に当たり、その震災の際にも8割の避難所でペット同行避難が可能となっており、2018年の西日本豪雨の際には、倉敷市真備町の市立岡田小学校では、体育館が主な避難場所になっており、そこはペット禁止でしたが、そことは別の教室をペット連れの方専用にしました。つまり、人とペットがいる場所を分け、どちらも屋内で暮らせるようにしました。真備町に隣接した地区にある市立穂井田小学校では、豪雨から2週間後にペット同伴者専用の避難所を開設し、ペット連れの避難者を受け入れたそうです。川崎市では、今年、避難所運営マニュアルを改定し、ケージ入りであれば、避難所にペットの持込みが可能となりました。 先ほどの答弁で、45.3%の方が知っている、または聞いたことがあるとの回答と答弁がありました。逆に、同じアンケートの回答で、知らなかったと回答した人が52.8%との結果もあります。災害・防災の観点から見れば、7年も経過し、半数以上の方が知らなかったということは、反省するべき点だと指摘をさせていただきます。ガイドラインやリーフレットの周知、配布場所、インターネット媒体なども活用して、同行避難について知っているとの回答が80%、100%となるように市民に周知啓発をしていただけるように要望いたします。 そして、弔慰金については、額を見直す考えはないとの答弁でした。私には、昭和49年当時に設定した弔慰金10万円が現在の社会に照らし合わせて妥当な額とは思えませんが、この制度の適用は、自然災害だけでなく、火災による被災にも贈呈をされます。本市の過去5年の実績を見ると、火災でお亡くなりになられた方の御家族に対してのみ支給がされております。 それでは、再度局長に質問をさせていただきます。 1974年といえば、私はまだまだよちよち歩きの3歳でした。当時と比べて、マイカーは一家に1台、テレビは複数台、子供の教育・塾にかけるお金も増え、物質的にも豊かになり、私が子供の頃、10円で買えた2.5センチ角ぐらいのチョコレートは今では20円となり、自販機の飲料も100円で買えないものが多くなりました。消費税の影響もありますが、物の値段も貨幣価値も上がったと実感しております。その昭和49年に弔慰金の額を10万円に設定した以後、46年間一度も見直さず--何度も言いますよ--現在の社会に照らし合わせて妥当な額とは私には思えません。例えば、他都市に見られる生計維持者と、そのほか、弔慰金額を2種類設定するなど、金額や制度の見直しをするお考えはないでしょうか。 ◎健康福祉局長(山田俊彦君) 健康福祉局に、弔慰金の額や制度の見直しに対する考え方について、再度お尋ねをいただきました。 繰り返しの答弁になりますが、市災害弔慰金の支給等に関する条例に基づく弔慰金を、死亡時には最大で500万円支給しているところでございます。また、死者を弔う趣旨の弔慰金において、生計維持者とその他を分けることについては慎重な議論が必要と考えるところであり、加えて本市と同様に市独自の災害弔慰金を有している政令指定都市のうち、生計維持者とその他を分けた制度となっているのは2市のみとなっておりますので、現在のところは弔慰金の額及び制度見直しを行う考えはございませんが、他都市の状況等について情報収集に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ◆(中川あつし君) ありがとうございました。 まず、今回私は、市災害弔慰金の支給等に関する条例に基づく弔慰金500万円についてお尋ねをしたわけではありません。これは端的に言えば、国の災害救助法が適用された場合の弔慰金で、火災は対象外です。 民間では、日々よいものを追求し、創意工夫、改善が求められます。民間出身の私の経験では、いつ、何を、いつまでに、どのくらいと、明確な数字--目標をコミットして、実現するかということを問われました。私も参加する経営者団体では、このコロナ禍でも、打つ手は無限と、やらないことを前提としない考え方で日々闘っております。前例主義をやめ、市民のために、よいと思われることは積極的に採用し、他都市に先駆け前例をつくっていくという姿勢こそが、市民が本市に求めていることではないかと意見を申し上げて、私の全ての質問を終わります。(拍手) ◆(吉田茂君) 明12月1日午前10時より本会議を開き、第130号議案はじめ16議案に対する質疑並びに質問を続行することになっておりますので、本日はこの程度で散会されんことの動議を提出いたします。    〔「賛成」〕 ○副議長(山田昌弘君) ただいまの吉田茂君の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」〕 ○副議長(山田昌弘君) 御異議なしと認めて、さよう決定し、本日はこれをもって散会いたします。          午後2時22分散会      市会議員  岡本善博      市会議員  加藤一登      市会副議長 山田昌弘      市会議長  中里高之...